第17話 スターのジュエリー
導きの道ができてから数日後の夜、宝石神殿の4階でコパリュスたちと一緒にくつろいでいた。
「導きの道ができたから、さっそく使ってみてスークパル王国へ行ってみたい。少しの間、宝石神殿への奉納ができなくなるけれど大丈夫?」
「レベル上げを急ぐ必要はないから、メイアの好きで構わないの」
「ありがとう。宝石の採掘と加工で区切りがよいところで旅行を考えてみるね。シストメアちゃんに会いたいから、シンリト様たちに場所を聞いてみる」
シストメアちゃんは貴族だから、きっと領地ももっているはず。王都ドリペットにいるのか領地に戻っているのかは確認が必要ね。
「わたくしはメイア様との旅が楽しみです」
「ぼくもいっしょにいきたい」
「もちろんムーンとスターも一緒よ。4人で一緒に行こうね」
その後は宝石の話題で夜遅くまで楽しく過ごした。
翌日の午後に、宝石神殿の3階でシンリト様とリンマルト様に会った。部屋に案内されて向かい側にはシンリト様とリンマルト様が、私の横にはコパリュスが座っている。私のうしろにはムーンとスターがいた。
「私たちに用事があると聞いたが、何か困ったことでもあるのか」
シンリト様が私に聞いてきた。
「導きの道ができたからスークパル王国へ行くつもり。それでシストメアちゃんに会いたいのだけれど、何処へ行けばよいのか教えてほしいです」
「今の時期ならラコール領の領都アバーンにいるだろう。ラコール領は王都ドリペットよりも西側だ」
シストメアちゃんの居場所と概ねの場所がわかった。カンアットの森側みたい。
「ありがとう。ラコール領には私たちだけでも行けそう?」
「王都ドリペットを経由していけば、少し遠回りにはなるが道は分かりやすい」
「近々、使用人たちが宝石神殿へ来ます。帰りに同行するのは如何かしら。ラコール領まで行くように指示もだしますわ」
リンマルト様が思い出したように口を開いた。
「そうしてもらえると助かります。コパリュスもそれで平気?」
「それで構わないの」
これで道に迷うことはなさそう。あとは当日までに準備する感じね。
「ラコール領へ行くのなら、メイアに頼みたい要件がある」
シンリト様からで、私への頼み事は珍しかった。
「私で可能な用事なら引き受けますよ」
「手紙をトクツァインへ届けてほしい」
たしかシストメアちゃんのお父さんよね。私には宝石箱があるから、品物が何でも安全に届けることができる。
「ラコール領の領主様宛ですか。届けるだけなら平気よ」
「それは助かる。出発前までには用意しておこう」
聞きたい内容と頼まれごとも決まって部屋をあとにした。
王都ドリペットから使用人がきて、明日になったら一緒に王都ドリペット経由で領都アバーンへ行く。すでにシンリト様からは手紙を預かった。トナタイザンさんには宝石神殿を留守にすると話すと、散歩がてらに宝石神殿へ来てくれるみたい。
ラコール領へ行く準備は、スター用のプレートのみとなった。
「スターにはゴールドの軽い中空ネックレスを作るね」
今は宝石神殿の地下1階にいて、横にはムーンとスターがいた。
「たのしみ」
「お昼前におおむね出来上がっているから、もう少しだけまってね」
「メイアのしごとをみて、まっている」
宝石箱から加工に使う宝石道具を取り出して、ジュエリー作業を開始した。すでに組み付けまでが終わっているので、スターに似合うジュエリーを想像しながら磨きや細部を調整する。
表面は顔が映るくらいまできれいにして、その状態でも模様ははっきりと分かるように加工を進めた。
最後に使い魔や従魔と分かるプレートをネックレスの中央へ着ける。重くならないように宝石は使っていないけれど、充分に満足のいくジュエリーに仕上がった。
「中空ネックレスのジュエリーが完成したよ」
スターの首へつけるために、片手に乗る大きさで小さいパーツを10個繋げた中空ネックレスにした。右手に乗せた中空ネックレスをムーンとスターに見せる。
「きらきらしていて、ぼくうれしい」
「表面は星の模様でしょうか。スターらしいデザインですてきです」
ムーンもスターも喜んでくれたみたい。
「夜空をイメージした模様で、空を飛ぶスターに似合うと思ったのよ。さっそくスターにつけてあげるね」
中空ネックレスをつなげている引き輪から相手側部分を取り外して、スターの後ろから中空ネックレスをつけた。プレートが重りとなって、中空ネックレスは安定しているみたい。りりしい姿のスターに似合っていた。
「かるくて、ぼくにあうジュエリー」
「気に入ってくれた?」
「うれしい。メイア、ありがとう」
「喜んでくれてよかった。これでスークパル王国へ一緒に行けるね」
スターを抱きかかえて頭を撫でると、スターは嬉しそうな表情を見せてくれる。明日にむけた準備ができたので、ムーンとスターを連れて地下1階をあとにした。
その日の夜になって、宝石神殿の5階へ宝石とジュエリーを奉納した。そのあとに私自身の情報を知るために石のテーブルへ手をかざすと、宝石調和スキルがレベル3になっていた。
コパリュスたちや妖精たちが、私のレベルアップを祝ってくれた。
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