宝石神殿レベル7
第34話 活発な精霊
昼過ぎの時間に宝石神殿の5階で、宝石神殿がレベル7になった。
「また精霊に会えてうれしい。土と風の精霊だったから、今度は火か水の精霊?」
コパリュスに質問した。
「火の精霊なの。すてきな名前を考えてあげて」
世界4大宝石の残りはサファイアとルビーだった。真っ赤な炎を思わせるルビーしか考えられない。活発的な雰囲気にもあっている。
「名前はルビーよ。色鮮やかな赤色は炎の象徴でもあるよね」
青年の精霊が、空中に浮きながら飛び跳ねているようにみえた。
「力強さのあるすてきな名前です」
「ルビーもうれしくて喜んでいるの」
みんなが満足した名前だった。ダイヤもエメもお辞儀や回転をしてくれた。
「ルビー、これから一緒に楽しく過ごそうね」
「賑やかになってうれしいの。コパは宝石神殿の情報を確認する」
コパリュスが近くにある石のテーブルへ手をのせた。画面に宝石神殿の情報が表示されると、ルビー関連の機能が追加されている。
「宝石神殿の敷地内にある火の魔石具は、魔力の補充が不要になるのね。私では魔力補充ができなかったから助かる機能よ」
シンリト様たちや、ガルナモイトさんたちに知らせれば喜んでくれそう。
「敷地内の火も安定するから火事などは起きないの」
「大切なものが燃えなくてうれしい。ダイヤやエメと違って、火の頼み事は少ないと思うのよ。どのようなときならルビーを呼んでも平気?」
無闇には呼び出したくないけれど、いつでも精霊と仲よくしたかった。
「火を使うときなら喜ぶと思うの」
「料理や宝石加工で呼んでみる。今度は私の宝石スキルを確認したい」
石のテーブルに手をおいた。宝石採掘と宝石加工がレベル8で、宝石鑑定がレベル7だった。鑑定できない鉱物があるから、早く宝石鑑定もレベル8にしたい。
「メイア様が達人と呼ばれるのも、遠くないと思います」
レベル9からが達人らしくて、関連する神の加護をもっている人も多いみたい。私は最初からオパリュス様の加護があったから、レベル9になればオパリュス様にも安心してもらえそう。
「レベルが上がるといろいろと試せるから楽しい。ダイヤモンドは幻の宝石みたいだから、代わりの宝石を考えていたのよ。レベル8になったから挑戦できる」
「どのような宝石ですか」
ムーンが聞いてきた。メレダイヤと呼ばれる小さいダイヤモンドの代わりをずっと考えていた。宝石図鑑でよさそうな宝石がみつかった。
「言葉で説明するよりも実物をみせたい。これから作っても平気?」
「コパも一緒に地下1階で加工をみたいの」
コパリュスとムーンをつれて地下1階へむかった。エメが私の周りを飛びながら一緒についてくる。地下1階に行く途中で使用人と出会うと、使用人はエメへ挨拶するほどに慣れてきた。
地下1階に到着して準備を始めた。『宝石箱』と念じて、出現した宝石箱から原石を取り出した。テーブルの上が山盛りになるほど採掘していた。
「使用する宝石はトパーズよ。それもカラーレストパーズ。これから加工するね」
「近くでみています」
宝石道具を手にとって研磨を開始した。通常よく使う大きさのルースから、メレダイヤを意識して小粒サイズのルースも加工した。予定数ができあがった。
「透明感があってダイヤモンドに似ているの」
コパリュスが覗き込んできた。
「小さいルースは、主役の宝石周辺に飾ると主役の宝石が引き立つのよ。試しにひとつだけジュエリーを作ってみるね」
「どのようなジュエリーになるか楽しみなの」
地金加工のために火の魔石具を取り出した。炎を灯すとルビーを思い出した。
「ルビー、炎を安定させて」
声に反応してルビーが出現した。その場で飛び跳ねると、火の魔石具周辺を飛び回った。銀色の粒子が炎に降り注いだ。気のせいか、炎の揺らぎが安定した。ルビーは姿を消さずに、エメと空中に浮かんでいた。
リングのジュエリー作りを開始した。主役の宝石はアメシストを使った。深みのある紫色が目を引く。アメシスト周辺や指を取り巻く地金に、カラーレストパーズを配置する。アメシスト周辺は少し大きめのルースを使った。
リングのジュエリーが完成した。コパリュスとムーンに見せた。いつの間にかエメとルビーは消えていた。
「透明な宝石があって、アメシストが際立っているの。地金はプラチナなの?」
「透き通るカラーレストパーズを生かすために、あえてプラチナにしたのよ」
「メイア様のジュエリーは奥深いです。すばらしい出来映えです」
「試しで作ったけれど、よくできたみたい。この調子でたくさん作ってジュエリーを奉納したい。きっと喜んでくれると思う」
「すてきなジュエリーでうれしいの。でもコパは夕食があるともっとうれしい」
思った以上に時間が経っていたみたい。後片付けをしてから4階へむかった。
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