第3話 メイアのスキル
思い出から目覚めて、まぶたを開けた。ここは宝石神殿の5階で、シルバーアクセサリーの奉納が終わったところだった。
「奉納も終わったから、私自身のスキルレベルを確認したい」
「コパも一緒にみるの」
「メイア様はレベルあげが上手です」
「大好きな宝石だから、夢中になっているみたい」
コパリュスとムーンをつれて部屋の右側に移動した。石のテーブルと真っ黒な画面があった。この装置で宝石神殿や私の情報が確認できた。
石のテーブルに手を乗せた。画面に私の名前や種族、所持している一般スキルと特殊スキルが表示された。
「宝石採掘スキル、宝石鑑定スキル、宝石加工スキル、どれもレベル2ね。順調にレベルが上がっているの?」
「まだ初心者レベルだけれど順調なの。宝石に限定されたスキルだから、汎用のスキルに比べてレベルアップは早いかな」
種類を限定するとレベルの上がり方が早いみたい。この装置は汎用の鑑定スキルと同様な機能と聞いた。私の宝石鑑定スキルは鉱物などしか鑑定できない。汎用の鑑定スキルは生物や品物全般で使える。
「レベル3になれば見習いが取れます。あと少しでレベルが上がるでしょう」
ムーンが教えてくれた。
「一般スキルは最大レベル10よね。レベルによって呼び方が異なるの?」
「目安はレベル3が一人前で、スキル持ちとして認められます。レベル5は熟練でレベル7が一流です。レベル9は達人でめったにいません」
次のレベルまでどの程度かは不明だけれど、もう少しで一人前になれるのね。大好きな宝石だから、どのスキル上げも苦にならない。
「宝石神殿のレベルを10にして、結果的に一般スキルが上がればうれしい。特殊スキルにはレベルがないよね? 女神オパリュスの加護、言語能力の加護と、2つ持っているけれど一般的なの?」
衣食住と奉納が忙しくて、特殊スキルは詳しく聞いていなかった。
「特殊スキルは習得有無だけだからレベルがないの。複数持っているのは珍しいけれど、おかしくはないかな」
「2つの特殊スキル自体はどのような感じ?」
「神の加護は関連スキルのレベルが一流以上で半数程度、達人ならほとんど持っているかな。言語能力の加護は、王族や貴族ががんばって習得している」
「神様の加護は関連スキルで恩恵が受けられます。言語能力は文字通りで、知らない言語の理解です。他国と交流する地位には欠かせないようです」
ムーンが効果を教えてくれた。今持っている特殊スキルは特別というほどではなさそう。王族や貴族がいる世界で、中世ヨーロッパを思い浮かべた。
「エルフ族もいるのね。会ってみたい。それと宝石神殿がレベル2になったら、宝石神殿以外の場所も行ってみたい」
純粋にオリュパス様たちの世界にも興味があった。
「いつでも案内するの。でも宝石神殿の敷地外には怖い魔物がいるかな。メイアは一人で出歩いてはだめなの」
「ムジェの森へ行くときは一緒におねがい。私のスキルは順調のようだけれど、宝石神殿のレベルはまだかわらないよね?」
まだレベル1のままだけれど目で確認しておきたかった。私のレベルと同様に、この装置で宝石神殿の状態を確認できた。
コパリュスが石のテーブルに手をかざした。画面が宝石神殿の内容にかわった。
宝石神殿はレベル1となっている。敷地全体を上からみた絵もあった。円形の敷地でサッカー場を10個以上並べた長さがある。中央に建物が集中していた。
「一番大きな建物がいまいる宝石神殿で、黄色は修繕が必要な建物よね」
東西と南に道が延びていた。中央の北側に一番大きな建物がある。そのうしろ側には小さな建物があった。道をはさんだ南側にも数件の建物が並んでいた。
「そうなの。レベルアップで自動修復される。緑色が正常かな。おかしな場所や危険が迫ると赤色になるの」
オパリュス様の加護で建物は朽ち果てないけれど、老朽化はするみたい。
「私には戦うすべがないから安全が一番ね」
「危険が迫れば、メイア様はわたくしが守ります」
コパリュスとムーンは、ムジェの森にいる魔物を倒せるほど強いみたい。私はまだ森の中に行っていないけれど、早くみんなで一緒に行きたい。
鐘の音色が聞こえてきた。宝石神殿にある鐘で、3時間おきに時刻を知らせてくれる。この世界は1日が24時間で、1月は30日の1年360日だった。
「頼りにしている。そろそろお腹が減ったみたい。お昼にするね」
元の世界では金銭節約のために自炊していた。役に立ってよかった。
「メイアの料理はおいしいから、コパは楽しみなの」
「喜んでくれてうれしい。レベル2で岩塩が採掘できたのが大きい。でもほかの調味料があればもっとおいしくできる。食材も種類を増やしたい。料理スキルは取ったほうがよさそう?」
スキルがなくても料理は作れるけれど、スキルがあると恩恵を受けられる。スキルは関連の神様か代理者からもらえるみたい。食材は米や小麦がないからパンも作れなかった。野生の芋類をコパリュスが見つけてくれたので主食は確保できた。
「メイア様の料理は、今のままでも充分においしいです」
「スキルはなくても平気なの。コパもお腹が空いた。早く料理を作ってほしい」
コパリュスに背中を押されて4階に向かった。
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