第7話
少し話は飛び昔へ戻るが、僕は小学校一年生の終わりに転校した。理由とかは全く覚えていないが、おそらく兄弟が増えて三人兄弟となり、部屋が手狭になったからだろう。同じ市内の3DKの団地へと引っ越した。
新たな生活は、最初こそ学校に馴染めずに少しばかりイジメられたが、小学校の思い出にあまり悪い思い出はないように思う。もしかすると、単純に印象がないだけで覚えてない、覚えておこうとしなかっただけかもしれないが。
大人になってから気が付いたことなのだが、僕は他人に対して無関心な部分があるということだ。
人の名前を覚えようとしない。もちろん顔とかの記憶はあるものの、名前が思い出せないことがよくある。例を言えば、芸能人等全く名前が出てこない。芸を言われれば、知ってることは知ってるが名前がピンとこないのだ。
そういった何か特定のことができないことに対する障害があるのかとも思ったけれど、仲の良かった子なんかは何年経っても思い出すことができるので、ただ単純に興味がない、知ろうとしないだけなのだろうと思う。
家族等近い間柄以外はあまり関心を持たないし、深く入っていこうとしない。
人の噂話や、他人が僕のことをどう思っているかとかも正直どうでもいい。
この家庭環境に結びつけるのは正直どうかとも思うが、自分が他人のことで傷つくことにひどく臆病になっている気がする。表面のいいところだけ知って、深入りせず、嫌な部分を見たくないのだろう。そうやって家庭での不安や憎悪のような空気を外でさらにパンパンに入れられてパンクしないようにしていたのかもしれない。
なにせ、外では明るいと言われて、周りからも悩みが何にもなさそうで羨ましいと言われていたほどだったから。
これに気がつくまでは、どんなに困難なことでもなんとかなる精神で、そこまで深く悩まず、つくづくこんな性格で良かったと思っていた。実際は、ただ自分を擁護したくて自分自身に向き合わなかったり、関心を示さなかっただけで、すごくドライな性格だったんだと気がついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます