第5話

 小学生になると、幼稚園とは違い、子どもたち同士だけで遊びに行くようになる。

 僕は、家で両親が居るときは大人しい子で、家から一歩でれば明るい自分になった。まるで家に帰る前に猫の皮を被るように、極端な二面性を持っていたなと思う。

 小さな時からの習慣だったからだろうか、なんとなく相手の感情を汲み取る力というのは、他の子どもたちに比べて秀でていた。というよりも、顔色ばかり伺っていたからそれが身についたのだろう。

 [苦労は買ってでもしろ]とは言うが、こういった幼い頃の経験が、今となってはなんとなく生きてきている気はしてる。少し複雑ではあるが、良かったなと思っている。

 この頃の両親は、顔を合わせれば衝突していたが、父親の方の仕事が忙しく、夜遅くに帰ってきていたので喧嘩の回数は減った。

 みんなは、土日や休日が楽しみだったのかと思うが、僕は大嫌いだった。学校もそんなに好きでもなかったけど、家族で過ごす土日がなによりも嫌いだった。

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