第57話
「ぅ……寒い」
3月も半ばに差し掛かり
「今何時ぃ……」
スマホの画面を点灯させて確認すると、今の時刻は朝の4時半。外もまだ明るいとは言えず、室温は低い。今日は休日だから寝たいのだけれど、
無意識の内に布団の中を漁り、何が胸に抱けるものを探す。はて、私のベッド周りにぬいぐるみなんてあっただろうか?
「うーん……起きよ」
自分の謎な挙動で完全に目が覚めてしまい、不本意ではあるがベッドから起き上がる。再び時刻を確認すると朝の5時。いつも以上の早起きになってしまった。
かと言って特段やることは無く、私はTVのチャンネルをニュースに合わせ朝食の準備を始める。
「あのゲーム消さなきゃ良かったかなー……」
何日か前、インストールした記憶の無いソシャゲに気付いてアンインストールをしたのだが、今日みたいな時に用に取っておいても良かったかもしれない。
ちょっとした
手早く調理を済ませ平皿へよそい、TV前のローテーブルへ朝食を運ぶ。チンと、丁度良くトーストも焼き上がる。
「いただきます」
私以外誰も居ないが、
『たった今情報が入りました。昨夜未明、タタラグループ現会長の「
「へー……亡くなったんだ」
全く興味が湧かなかった。まぁ、関わりの無い人間なのだから当然とも言える。精々「病気だったのかな?」と感じる程度だ。
『新しいグループの代表については、今後発表するとのコメントがありました。詳しい内容は続報が入り次第、追ってお伝えいたします。続いてのニュースです……』
その後も、他愛の無いニュースが続き、私は朝食を食べ終えた。番組への興味の無さが、満腹感と合わさって私を再び眠りの世界へと
あぁ……お皿片付けなきゃ……。
ピコーンという、メッセージの受信音で意識が覚める。うぅ、腰が痛い。
「んー? あ、アカネちゃんからだ」
全身を伸ばし、友人からのメッセージを開くと『今日お暇ですか?』と書いてある。
「『暇だよ〜。遊ぶなら何時くらいから?』っと……ありま。2度寝し過ぎちゃったかな」
メッセージを送信してから気付く。スマホの時刻はとうに9時を回っていた。さっさとお皿片づけて支度しなくては。寝落ちた私が憎い。
シュポッと音が鳴り、アカネちゃんからメッセージが返ってくる。
『そうしたら11時半頃に寮のロビーで待ち合わせしませんか? それと、うちの友達も一緒でも大丈夫でしょうか……?』
『友達が一緒でも大丈夫だよ~。待ち合わせ時間も了解! お昼一緒に食べる感じかな? 寝落ちてたのでなるはやで準備するね!』
『一緒にお昼食べる感じです。そしたら今日はお願いしますね!』
さて……タイムリミットは多く見積もっても2時間半と言った所か。食器を片付けて、シャワー浴びて着替えて化粧してたらあっと言う間だ。急いで支度しないといけない。
「アカネちゃんおはよ~」
「モモカさんおはようございます」
「今日は髪型いい感じだね~」
アカネちゃんの髪は片眼が完全に見える様に
「そうですか!? ありがとうございます! 休日は時間があって髪のセットができました」
アカネちゃんはエヘヘと嬉しそうに笑う。
「モモカさんは今日もオシャレですね」
「ホントー? ありがと~アカネちゃん」
今日の私の格好は、バルーンスリーブのブラウスにハイウェストのロングスカート。今日の気温的に大丈夫だろうと判断して少し薄着にしてみた。今日の目的を聴いていなかったが、アカネちゃんの服装的に運動したりはしないだろう。というか、体育に出れない病弱な人間が休日に運動したりはしないだろう。
「そういえば~、今日の目的聴いてなかったんだけど、どこかでアカネちゃんの友達を待ち合わせ?」
「はい、駅前のモールで待ち合わせてます」
モールなら寮から歩いて30分もかからない。人と待ち合わせるのには丁度良い。
それにしてもアカネちゃんの友達か……どんな友達なんだろう。
【後書き】
寝落ちて若干更新遅れました。申し訳ありません。
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