第5話

 俺含めクラスのみんなが一斉に扉に向かって顔を向ける。

 扉の向こうには鎧を身にまとった騎士らしき見た目をした人たちがおり、誰かを守るような陣形を取りながら部屋の中へと入ってくる。

 そして部屋に入ってきた瞬間、突然左右に分かれ間隔を開けながら縦に向かい合うように並んだ。

 その間を今度はドレスを身にまとった一人の女性を先頭にローブ姿の人たちが入ってくる。

 その光景に俺たちはただただ困惑するしかなかった。


「皆様ようこそいらっしゃいました。私は、イデン王国第一王女アイリス・イデンと申します」


 そういって自己紹介をした先頭の女性がきれいな動作でお辞儀をする。

 俺たちはそれに対してただただ呆然とするだけで、どうすればいいのか困っていると刀花姉が前に出る。


「ご丁寧にありがとうございます。私は、夏目 刀花と言います。こちらでは、トオカ・ナツメといった感じでしょうか」

「トオカ・ナツメ様ですか。あなただけこの中で一人服装が違うのは、代表者といった感じだからでしょうか?」


 自己紹介をした刀花姉に対して王女様が不思議の思ったことを聞く。


「代表者かどうかで言えば一応この中で唯一の大人であり、この子たちの教師なので代表者という認識で間違いないかと」

「まぁ!教師!と言うことは、皆様学園に通っているということですか?そうなると皆様貴族などの出なのですね」

「いえ、それに関しては違います。私たちの住んでいる国は貴族という概念はなく。国民がみな平等に学ぶ権利を持っています」

「それはなんと」


 王女様が刀花姉の話に目を輝かせながら刀花姉に詰め寄る。

 すると王女の後ろにいる一人のローブ姿の人物に「姫様」と呼ばれ、はっとした王女様が「すみません」と少し顔を赤らめながら謝る。


「それでは、いま皆様がどのような現状にいるのかを説明させていただきます」


 そう言うと王女様が説明を始める。

 その説明を簡単にまとめると、よくあるファンタジー小説通りこの国含め多くの人間の平和を脅かす存在である魔王軍とその親玉である魔王を倒してもらうために神々により授けられた召喚魔法を使い俺たちを召喚したらしい。

 そしてこれから俺たちは召喚される際神々によりジョブををもらっているらしく、その確認そのあと今日はひとまず休んでもらい明日からジョブに合った訓練をしてもらいたいとのことだ。


「あ、あの・・・ちょっといいですか?」


 王女様の説明の後女子生徒に一人が質問があるらしく手を挙げた。


「はい、なんでしょう」

「それは、全員強制ですか?私たちがいた国は戦争もなくましてや殺し殺されるなんて経験もない一般人です。そんな死とは縁遠い私たちにはとても・・・」


 女子生徒は少し顔を青くしながら恐る恐る王女様に聞いた。

 王女様は少し悩むそぶりをした後に口を開く。


「私たちとしては、一人でも多くの力が必要ですがどうしても命を奪うのに抵抗を持つというのであれば、無理強いは致しません。ですが一度だけ野外訓練を経験してもらい、それから改めて協力していただけるかどうかを聞かせてください。無理な場合は城内で過ごすなりなんなりお任せいたします」


 それを聞いた女子生徒は、かすかに曇った表情をしながら「わかりました」と言った。

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