第4話
俺は、誰かに体をゆすられ目を覚ます。
「やっと起きたか。こんな騒がしい中よく寝てられるなお前は」
俺を起こした健人は、心底呆れた顔で言う。
寝ぼけた目で少しの間ぼーとしていると徐々に意識がはっきりしていく。
「ここは......どこだ?なんでこんなところに......」
「さあな。俺含めみんな少し前に目が覚めたばかりで現状に戸惑ってるところなんだ。ぱっと見どっかの建物の中っぽいからあんな感じで外に聞こえるかはわからないが、大きな声で呼びかけてる感じ」
そういって健人が顔を向けたほうには数人の男子が大きな声で扉を叩きながら叫んでいた。
俺はその光景に対して、扉開けて外出ればいいじゃんと思っていると健人が俺の思ったことを察したのか「鍵がかかってるのか内側から開けられないんだよ」と教えてくれた。
俺は、改めて今俺たちがいる部屋を見渡す。
部屋はぱっと見大理石らしき石が使われており、俺たちを囲うように老若男女様々なかっこをした石像が置かれている。
そして一番気になったのが俺たちのいる地面に円を描くように線と記号らしきものがっびっしり書かれており、ザ・魔法陣といった感じの見た目をしている。
「まあ、そんな感じで進展を待ってる状況だ」
「ふーん、ところで聖は?俺は寝てたからともかく、真っ先に二人は合流するだろ?」
「ああ、聖はあそこだよ。お前と同じくなかなか起きない困ったさんを起こしに行ってる」
健人が向いたほうを見ると、確かに聖が誰かを起こそうと頑張っている。
その人物をよく見てみると爆睡しているようで必死にゆすっているが一向に起きる気配がない。
そしてその人物とは、なんと唯一の大人である俺らの担任、夏目先生だった。
俺は、なるほどと納得し聖がかわいそうに思えてきたので夏目先生に向かって殺気を飛ばした。
その瞬間夏目先生は、爆睡していたのがウソのように飛び起きた。
飛び起きた夏目先生は、殺気を飛ばしたのが俺であることを理解すると不機嫌そうな表情でこっちへと近づいてくる。
「影明!毎回毎回、人を起こすのに殺気を使うなよ!」
「起きない刀花姉がいけないんだろ?すぐに起きてくれるなら殺気なんて使わねぇよ」
「それはそうだけどなぁ。姉弟子に対して敬意ってものはねえのかよ!」
刀花姉が言ったように俺たちは、同じ師匠から武を学んだ姉弟子、弟弟子の関係だ。
「ないな~。そんなことより先生なんだから混乱する生徒たちをまとめろよ」
「うん?そういえばここは何処だ?」
「それがわからないから困ってるんだよ」
俺は、「とにかく先生の役目を果たしに行け」と言って背中を押した。
刀花姉はまだ何か言いたそうな顔をしていたが、自分のやることはしっかりと理解しているため生徒たちに声をかける。
その声によって先ほどまで外に向かって叫んでいた生徒たちも集まり点呼を始める。
どうやら今日欠席している生徒はいなかったようで、グダることなく点呼を終えた。
そのあと今後に関する話し合いを始めようとした瞬間、先ほどまでびくともしなかったこの部屋唯一の扉が、音を立てながら開き始めた。
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