第3話
教室につくとすでに全員来ているようで、そこにはいつも通りの光景が広がっていた。
健人と聖もいつも通り友人たちの会話に混ざり楽しそうに話をしている。
俺も荷物を置き自分の席に着く。
席に着くと、ポケットからスマホを取り出しいじり始める。
ネットニュースを見たり気に入っているネット小説を読んだりして時間をつぶしていると、学校のチャイムが鳴る。
そしてチャイムから少しすると教室の扉が開き、少し跳ねている長い黒髪を後ろでまとめた女性が入ってくる。
「ほらお前ら~、席付け~。ホームルーム始めるぞー」
この一見やる気のなさそうな女性が俺たちの担任、
こう見えて、面倒見がよくクラスみんなから慕われている人気のある先生だ。
「それじゃぁ、出席とるぞ~」
先生がいつも通り生徒の名前を呼んでいく。
そしていよいよ自分が呼ばれる番になった瞬間、突然教室が揺れ始める。
その揺れは、今まで感じたことのない大きさで教室全体が騒がしくなる。
「お前ら!落ち着いて机の下に隠れろ!絶対に頭だけは守れ!」
先生の声によってみんな一斉に机の下にもぐる。
揺れは一向に収まる気配がせず、逆にひどくなっていっているような感じがしながらも必死に耐えていると、突然教室の床が強く光り始めた。
その光から目を守るために強く目を閉じた瞬間、体が謎の浮遊感に襲われた。
―side ??? ———
そこはただただ白い空間が広がるだけの場所。
時間の概念も何もかも存在しない場所。
しかしそこに珍しく今は、老若男女問わず数多くの人知を超えた存在がいた。
『ああやっと、やっと帰ってきた。私の、私たちのかわいい子』
『ああ、偶然とはいえあ奴には感謝せんといかんな』
歓喜した表情を浮かべる女性の姿をした存在に老人の姿をした存在が同意する。
『嬉しいのはわかるけど、あまり干渉してはいけないよ?まだあの子は人なのだから。我らは人の子らに必要以上に干渉してはいけない決まりだからね』
『そうそう。今は、お願いされた通り僕たちの愛し子とそれ以外の子たちに、この世界で生きるための力をあげなちゃ』
青年の姿をした存在が女性と老人の姿をした存在に微笑みながら注意する。
少女にも少年にも見える姿をした存在が青年の姿をした存在に同意し、今自分たちがしなくてはいけないことを改めて口にする。
『愛し子は、今解ける制限をすべて解けばそれでいいだろう。愛し子のジョブはスキルが勝手に決めてくれるだろうからな。そのほかの子たちにはジョブを授けたあと、おのおの気に入った子がいれば加護を与えるなりスキルを与えるなりすきにすればいい。それでは始めるとしよう』
男性の姿をした存在がそういった後に、人知を超えた存在達は影明以外の生徒たちを物色するかのように見始める。
『ああ、早くあの子と直接会って話がしたいな~。せめて少しでも今触っちゃダメかな?』
そんな中、影明達ぐらいの年齢に見える女の子の見ための存在がそわそわしながらそう言った。
『今は我慢しなさい』
その女の子の姿をした存在に対して、お姉さんといった感じの女性の姿をした存在が止める。
女の子は『はーい』と返事をした後に生徒たちに視線を向け見始める。
しかしその視線は
『......やっぱ頭だけ撫でてくる!』
『あっ!ちょっと!はぁ~、あの子はも~』
女の子は女性の制止を聞かずに、影明きに近づき頭をなでる。
『はぁ~、可愛いなー。あとちょっと、あとちょっとで君とまた話せる。その時はいっぱい話そうね......』
そのあと人知を超えた存在達はやることを終え、先ほどの男性の姿をした存在が何か合図のような動作をすると、影明たちと人知を超えた存在達はその場から姿を消すのだった。
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