第2話

「っ!__」


 突然頭に痛みが走り、頭を押さえる。

 頭痛とともに、靄のかかった光景が頭に浮かぶ。


程々ほどほどにしないと本当に嫌われるわよ。___は、しつこく絡みすぎるんだから』

『いいじゃねーかよ。___だって、あんま甘やかしすぎるなよ。じじい共が羨ましがって大変なんだぞ。毎回愚痴られる俺の身にもなれよ』

『ふふん!それは、育てる権利を勝ち取ったものの当然の権利よ!』

『はぁ~。あのな~...........』

『なによ。あなたこそ..........』


 知らないはずなのになぜか懐かしい、心が休まるような感覚がする光景。


「___き!か__き!影明!どうした!大丈夫か!」


 俺は、健人に呼ばれ気づくと二人は心配そうに俺の顔を見ていた。

 その顔が、一瞬別の誰かの顔と重なる。

 その瞬間なぜか、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。


「おいおい、本当に大丈夫か?」

「体調が悪いなら今日は休んだほうがいいんじゃない?」


 二人が気遣う言葉をかけてくれる。

 その顔を見ると申し訳なさとやるせない気持ちが強く湧き上がる。


「いや、大......丈夫だから。少し頭が痛くなっただけだから」

「そうは言うけどよ、なあ?」

「ええ、影明......あなた泣いてるのよ。とても、せつなそうに」


 俺は、聖の言葉を聞き手を目元にもっていくとかすかに暖かい液体に触れる。

 俺は自分のことながらなぜ泣いているのかが本当にわからず困惑する。

 確かに結構な痛みではあったが、泣くほどではなかったはずだ。


「本当に大丈夫だから、ほら教室に行くぞ」

「お前がいいならいいけどよ......」

「無理はしないようにね?」


 俺は涙をぬぐうと、二人に続いて歩き始める。

 不思議な気持ちを抱きながら。

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