第3話 テレビがないので
2泊だったかな…
新入生の5月でした。1年生全員で集団行動訓練合宿というものに行きました。
伊豆の修善寺だったと思います。
約500名弱の1年生全員がその施設に泊まり、オリエンテーリングとかやりましたね。
親睦を深める意味もあったでしょう。
さて…
夜…
夕食を食べたら寝るだけです。
僕の同部屋はちょっと個性的な人ばかりで、実は少々怖かったのです。
僕の行った高校は付属の中学もあり、そこからあがってくる人が数十名いました。
彼らはもうこの学校に通って4年目でもあり、ようは慣れているのです。
不良ではないですが、ある意味みんなヌシみたいなものです。
「テレビ観てえな…」
成田が言いました。
彼の実家は大きなお寺を経営しています。
付属の中学から来た人です。
「そうだな…」
伊藤も応えました。
彼も付属からです。柔道部です。
実家は宗教法人の支部長でした。
「二つ奥の空き部屋にテレビあったぜ…」
柔道部の最上です。付属出身です。
店の名前は書きませんが、非常に有名な老舗飲食店の息子です。
なぜか高校から入ってきたのに僕はこの付属出身がたくさんいる部屋に割り当てられました。
30年前、中学から私立の学校に行かせるなんてけっこうなお金持ちのお子さんばかりでしたので付属出身はみなさん本当になんというかね…面白かったです。
宿舎は学校等で使う施設です。
高校生が使う部屋にテレビなんて当然ありません。
伊藤と成田と最上が奥の部屋に行きました。
しばらくするとテレビをかかえて帰ってきました。
電源、アンテナを接続します。
なんと映りました。
「これで11PMが観れるぜ!」
この時まで僕は番組の名前は知っていましたがそんな当時で言えば深夜番組、お色気番組など観たことがありませんでした。
「こんな番組初めて観たよ…」
素直に話すと
「そうか…、よかったな…」
と最上に笑って言われました。
「あそこの部屋にテレビがある…」
そんな噂は瞬く間に広がり、10人近くの男子高校生が集まり深夜番組を観ましたね。
先生の見回りに注意しながら、なんというかいろいろな意味でドキドキしながら観ていました。
テレビ…
翌朝にはちゃんと戻しておきました。
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