第9話 補講

いつもは寝ている1時間目。


味噌汁と目玉焼きと白米を食べた俺は、珍しく起きて授業を聞いている。

既に腹は減っているけれど。


「やんちゃな方の黒川。46ページ読んで。」

「え、俺ですか?」

どっとクラスの奴らが笑う。こういうのは嫌いじゃない。慣れてるし。

そして俺は音読が苦手だ。英語ではなく、国語でまだよかったけれど。

苦労してつっかえつっかえ読み終わると、先生が、

「黒川お疲れ。」

と、真面目な顔で言ってくれた。結構いい先生なのかもしれない。

高校デビューは、思ったよりもずっとスムーズだ。まあ、隼人のおかげもあるんだけどな。

「黒川ー。サッカーするぞー。」

「おう!」

昼休みも、俺は何やら忙しい。雄馬の後ろの席だけど、俺は雄馬が何をしているのか、あまり把握していない。そういえば、今日は雄馬の誕生日だったな。あ、そうだ。放課後は補講だった。


初めての補講がやってきた。補講に選ばれた厳選された生徒は、矢野と俺と鎧塚だった。矢野はひょろひょろと細長くて、鎧塚は小太りだ。

「わっさー。」

「うぇーい。」

「よろー。」

と、まずは3人で挨拶。こいつらとなら、仲良くやれそうだ。

「お前ら、なんでここ受けたの?」

と、矢野。

「ここの高校、サッカー強いじゃん。」

と、俺が言うと、鎧塚は、

「母ちゃんに受けさせられた。矢野は?」

「一応、意識高い系な高校受験生だったんだよ。」

「本気で勉強して、俺たちなんかと補講受けることになったのか・・・。」

鎧塚が、哀れみの目を向ける。

「まあ、仲良くやろうぜ!」

と、矢野が言った。

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