第4話 迷子の高校生

俺たちは、その後、迷子になることになった。

「俺の家も隼人の家も、どっちも人がいねえ!」

「どうする?」

「とりあえず、河原でも行くか。」

「なんで河原なんだよ。」

もしかして、思い出の場所なのかもしれない。俺が少しウエットな気分になると、

「だって雄馬、声でかいじゃん。河原なら大声出しても迷惑にならないから。」

イラっとしたのをなんとか抑えているうちに、河原が見えてきた。


「俺たち、高校生にもなって迷子になるなんて思わなかったな・・・。」

「同感。あれ?あっちも迷子じゃない?」


幼稚園の年長くらいの男の子が、めちゃくちゃに泣きながら歩いている。

「どこの幼稚園?名前は?」

「さくらんぼ保育園の、にしもとなつき。」

「なつきくんね。お母さんいないの?」

「おかあさんが迎えにこないから、ひとりでおうちにかえろうと思ったんだけど・・・。」

「お家が分からなかったんだな。とりあえず、さくらんぼ保育園に戻ろう。お母さん、保育園で待ってるかもよ。」

なつきくんを連れて、俺たち2人はさくらんぼ保育園へ。保育士さんが、本気で焦っていたところに到着。

「本当に、ありがとうございました!なつきくん、普段はそんなことしないので、心配で心配で・・・。」

「よかったです。」

すると、俺の腹が、ぐう〜っと鳴った。普段ならこの時間は、何か適当に間食を食べている時間だ。

「あ、もしよかったら、今日、園長さんが職員に買ってきたお菓子があるので、食べて行きます?」

「え、いいんですか?」

謎の苦笑いをしている隼人を無視しながら、チョコレートをもらう。こういうの、フィンガーチョコレートっていうんだったな。懐かしいな。


「雄馬、めっちゃ幸せそうに食べるな。」

「悪いかよ。」

「いや、いいと思う。」


そうこうしているうちに、なつきくんのお母さんが迎えに来た。そして、気付く。

「雄馬、俺のLINEに、お父さんから連絡きてたわ。」

俺もスマホを見ると、母ちゃんから電話が入っていた。


「そういえば、俺たちも迷子になってたんだったな。」


2人で新しい家に帰ると、母ちゃんと新しいお父さんが、

「早速2人で放課後に遊ぶなんて、安心したわ。」

と、喜んでいた。

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