美少女たちと昼寝
「ついた。ここがノースユルミだよ」
一日ほど馬車に揺られながら、一行は目的地である「ノースユルミ」にようやく到着することができた。
「うわぁー、本当に自然が豊かなところですね」
「あははっ! ここならお城と違っていっぱい走り回れそう!」
ミアとイズナは初めてここにきたため、帝国と違って木々が生い茂り、新鮮な空気と静寂が満ちていたこの場所に興奮を隠しきれない様子を見せる。カイル自身は子供の頃に何度かきたことがあるものの、最近は仕事が忙しかったため全く来ることができなかった。
「……良かった、変わってなくて」
だからこそ、昔と同じくどこか浮世離れした雰囲気があり、開放的な気分になれるこの場所が残っていたことに安堵した。
「それじゃ、別荘があった場所は……よし、ここだ」
そしてカイルはジェラード家が保有しているノースユルミの別荘を見つけて、そこに馬車を停める。
「わー、このお家大きい! ねぇカイル様、ここでイズナたち暮らすの?」
「そうだよ。でもしばらく使ってなかったから、まずは掃除をしないといけないけどね。イズナも手伝ってくれるかな?」
「うん、手伝う! 終わったら一緒に遊んでくれるよね?」
「もちろん、そのつもりさ」
「やったー!!」
「あ、あの……か、カイル様。わ、私とも……そ、その……」
「ああ。掃除が終わったら一緒にお茶でもしようか、ミア」
「は、はい!」
それから一行は埃まみれになった別荘の掃除に取り掛かった。なかなかに広い建物であるため、それなりに時間がかかると思いきや……。
「カイル様、ここ終わったよ!」
「カイル様、あちらはお片付け完了です!」
「ありがとう、二人とも早くてすごく助かるよ」
「えへへ〜すごいでしょ!」
「メイドとしてカイル様のお力になれて良かったです!」
ミアはメイドとして長く帝国に勤めていたため、掃除に関してはスペシャリストと言っても過言ではない。そしてイズナは、持ち前の俊敏さを活かしてテキパキと掃除を終わらせてしまった。そのため、想像以上に時間がかからずに掃除を終わらすことができた。
「ここまで早く掃除が終わるとは思ってなかったよ。二人とも本当にありがとう。さて、それじゃあ……うわっ!」
掃除が終わり、カイルは外に出てイズナと一緒に遊ぼうとしたその瞬間。イズナが急にカイルに飛びかかり、彼はつい芝生に倒れこんでしまう。
「イ、イズナ……びっくりするじゃないか」
「ごめんなさーい、カイル様。あれ、でもこの芝生気持ちいいね」
「ほんとだ。…………ああ、なんかこのまま昼寝するのもいいかもしれないね」
「だねー。あ、カイル様の隣に寝転んじゃおーっと」
青い空を見ながら寝転がっているカイルの隣に、イズナがぴったりとくっついてくる。すると、その様子を見たミアが少し頰を膨らませながら、カイルたちの元に近寄ってきた。
「……私も、一緒にお昼寝していいですか?」
「ああ、ミアも一緒に昼寝しよう」
「……やった!」
そしてミアもカイルの隣に寝転がり、彼は美少女たちと共に芝生の上で昼寝をすることになった。日頃の疲れもあってか、カイルは恥ずかしさよりも睡魔が勝ってすぐに眠ってしまったのだが……。
「カイル様……大好きです」
「大好き、カイル様!」
彼が寝ている間に、両頬に口づけをされていることを、この時のカイルは知る由もない。
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新作です! お試しで書いてみました。人気が出れば続きます。
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