第15話 『』
――――同じ夢を見ていた。
冷たい雨が降っていて殺伐とした悲しい感じ。ポツリポツリと水滴が僕の頬にあたり、肌の
表面に沿って地面へと落ちていく。
僕は天を見上げるように瓦礫のなか横たわっている。
何もできずに何かを見ている夢。
ただ自分自身、この状況が夢と感じられる。
この世界は崩壊したのか、それとも今までのままなのか?
現実感と虚構が入り交じったような感覚に陥る。
僕は心の中で問いかけるけど誰も答えてくれる人もいなければ、答えを確かめるすべもない。
けれどこれは夢でしかない。
何もまだ失敗していないはず。
だがなんとも言えない寂しさ、虚しさがつきまとう。
これは夢なんだと僕は自分に言い聞かせる。
だが映画を見ているように映像が勝手に進んでいく。
あの荒廃し、煤煙の中たたずみ此方に背を向けていた彼女が振り向く。
だが姿が違っているような気がした。
なんとも形容しがたく、それが彼女なのかもわからない。
ただ一つ言えることは振り向き此方を見つめる彼女の瞳は焔のように真っ赤に染まっていた。―――
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