第17話 どーも、説教と約束です

前回のあらすじ


主人公 ミノタウルスと死闘を演じ逃げる



本文



どーも、ミノタウルスと戦って逃走中のオッサンです。2戦連続は身体に良くない。今、ユリさんにおぶってもらい逃げています。逃走中、力尽き倒れこんだ俺を運んでくれるユリさん...の表情がマジで怖い。


「もう間もなく着きます」


「え?どこ...」


うわっ...今、俺、空中にいるよ。


「ぐへぇえ。な、投げなくても良くない?痛い、ヒドイ」


「ケンさん、私は初めて怒りでどうにかなりそうです...それも全てケンさんの所為です」


「さ、作戦、通りにいったろ?」


「あれは作戦ではありません。下手したら敵に挟み討ちにされ死んでいました!」


「敵の敵は味方作戦、成功したんだから...ゔっ」


やめて、ユリさん。頭を踏まないでください。


「ケンさんは、口がお上手ですからね。私の話を最後まで聞いてくださるのなら足をどかします」


「わがっだ、ぎぐー」


頭から足を退かし、魔法で癒してくれるユリさん。


「私がどれだけ苦しかったか分かりますか?分かってませんよね?胸がはち切れそうでした...なぜ共に戦おうって言ってくれなかったのですか?あの化け物に勝てると思い上がってたのですか?ケンさんの作戦は、どちらかが失敗するとどちらも死ぬ作戦。もう2度とそんな作戦を立てないでください。聞いてますか!?ケンさん!」


「も、もちろん聞いています。で、でも...ひぃっ」


ケツメイの刃先が喉の近く...


「でも、じゃありません。私の話の返事に言い訳はいらない。次言い訳したら首を刎ねます。そして私も死にます。良いですね?」


「わ、分かりました」


おしっこ漏らすかと思った。というか、あなたを殺してわたしも死にます発言を生で聞けるとは...


「ケンさん?私が先程話した内容覚えていますよね?その返事をもらえますか?」


「言い訳しないから絶対に殺さないでください。えっと、一緒に戦わなかった理由は俺の慢心とかではなくスキル使用と剣の性能を展開した場合ユリさんを巻き込んでしまう可能性があったからです。作戦については、俺はユリさんに命を預けたつもりでした。自分勝手な判断でした。本当に申し訳ありません」


完璧な土下座。頭を地面につけ、ユリさんが頭を上げて良いと言うまでは下げ続ける。これで、死ぬならどうしようもない。


「私を心配して、私にケンさんの命を預けた?本当に勝手な判断。貴方なら私を見捨て逃げることが出来たはず。生き残るためなら何でもする人でしょう?なぜ、私を見捨てなかったの?」


「分からない、ただ、あの時の俺はユリさんを見捨て逃げる選択肢はなかった。俺にも分からない...が、ひとつ言えるのは俺はユリさんを心の底から信じて命令しました」


「なぜ、なぜ、なんで?貴方は、私のこと何とも思ってなんかいないくせに...」


ユリさんが泣いている...本当に申し訳ない。


「ねぇ、答えて!貴方は私のことどう思っているの?どうして優しくするの?どうして私の気持ちを弄ぶの?」


「俺は、これの先ずっとユリさん以外信用しないと思うくらい信頼している。生き残るためにユリさんが必要だ。ユリさんに対しての気持ちは...もう少し待ってほしい。正直整理できていない」


「頭を上げてください。ぐすっ、私は貴方が好き、愛している。これからも先ずっと、貴方と駆け抜けて貴方が言う普通の生活を貴方と一緒にしたい。この気持ちは永遠に変わらない。だから、整理がついたら必ずどんな返事でもいいから伝えて...」


「ああ、約束する。必ず伝える」


再び泣き崩れるユリさんの背中を泣き止むまで、さすり続ける。


俺は、臆病者だ。




後書き


次回、ひとときの安らぎ(仮)

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