第15話 どーも、訓練です

前回のあらすじ


主人公 エルフと買出しに出かける



本文



どーも、エルフと買出しをしたオッサンです。

周囲を警戒しつつ、先に進む。目標は、俺が転移した場所まで行くこと。確かあそこは毒草がたくさん生えていたな。あそこは害はないけど、生き物にとって生活しにくいだろうな。モンスターも近寄っていない場所だから良いのだ。


「スマホで確認しているけど、モンスターいないね。うん?あれは...」


鑑定結果:大鬼オーガ LV20


大鬼オーガレベル20が数体。集団移動しているのか?」


ユリさんにスマホを渡し確認してもらう。ユリさんはスマホの操作が楽しいのか、モンスターを確認し終わったのちオセロゲームをしている。対戦相手は俺。


「はい、ケンさんの番です。ルールを教えてもらって初めてやりますが奥が深いような気がします。そういえば奴隷商人のマジックバックの中身を回収しましたが、メガネがありました。ただの飾りですけど、ケンさんとお揃いですね!」


この世界にも伊達メガネがあるんだな...意識をスマホに向け守りの姿勢で石を置く。ふふん、オセロを熟知している俺に勝とうなんてまだ早い!スマホをユリさんに渡し、木の枝の上に移動する。メガネを外しモノクルで大鬼オーガを確認する。


大鬼オーガの装備は、剣を持っているな。ユリさん、一旦オセロやめて。弓の矢で仕留められる?」


「まだ距離があるますし、確実に仕留められると断言出来ません。どのくらいの硬度があるか分かりませんし、斬りつけた方が確実だと思います」


「了解。集団の中に飛び込むのは愚策だし、単体になるよう誘導するしかないか...奇襲もありだな」


「今回は私が囮になりますので背後から奇襲して頂けますか?」


俺は頷き、木の枝から降り大鬼オーガに接近する。隠密スキルを使用しユリさんが敵を引きつけるのを待つ。


ガァアアアッ


計15体の大鬼オーガがユリさんを追いかけ始める。弓の矢で先頭の大鬼オーガの目を射抜いたか。相変わらず正確だな。俺は追いかける大鬼オーガの1体の背後に忍び寄りガンツの店に展示されていたロングソードで首を刎ねる。大鬼オーガの背が高いから、身体を捻りながらジャンプして斬りつける。同じようにもう2体の首を刎ねる。ユリさんは的確に弓で足を狙って矢を放っている。俺の方に意識を向けた大鬼オーガが剣を振う。


「うわっ!やっぱり魔法で強化しないと受け切れないわ。めっちゃ重たい一撃なんですけどー」


身体能力向上及び魔法強化は、まだ使用しない。ギリギリまで戦って、どうしても対応出来なかったら力押しで。


『隠密』


一旦、大鬼オーガたちから離れボウガンを取り出し再度距離を詰め目に矢を放つ。これなら確実に当たる。足止めしているユリさんの近く寄って魔法を唱えるよう伝える。


『風の精霊様、お力をお貸しください。風の刃よ、吹き荒れよ』


風の刃が数体の大鬼オーガを切り刻む。その隙にボウガンで3体の目を貫く。精霊魔法で死んだ数は4体、満身創痍が6体、後方に逃げ出すのが2体。


「逃がさないよ、うぉりゃっ!!」


逃げ出す1体の大鬼オーガの背中にロングソードを投げつけ突き刺さる。ユリさんがもう1体の後頭部に矢を放ち即死させる。


ガァアアアアアアッ


俺が投げたロングソードを引き抜く大鬼オーガ。この個体だけ武装が良く、体毛の色が違う。


「あいつ、なに!?特殊個体?ユリさん!鑑定!」


赤き大鬼レッド・オーガLV35です!!」


「レベル高ーな、おい!でも、神龍ほど脅威に感じないわ」


大剣を上段から振り下ろす赤き大鬼レッド・オーガ


めちゃくちゃな力だな、地面抉れてるぞ。避けて正解だわ。あんなの受けたら身体真っ二つになってしまう。


『身体能力向上・魔法強化』


ゴウケツを握り締め、敵の腕に向かって剣を振り下ろす。


ガッ、ギィイイ


「ちっ、反応速度も中々だね。でも、俺ばかり構っていいのか?」


赤き大鬼レッド・オーガの背後からユリさんが首を狙ってケツメイを振う。


ガァアッ


避けきれなかったみたいだ。首を刎ね...られなかった。傷はつけられてのは見てとれたが、まだ死んでいない。ユリさんの方を向く赤き大鬼レッド・オーガ


「ユリさん、一旦離れて他の大鬼オーガを始末して!!」


「分かりました、このデカブツの始末お願いします」


「はいよっ!ラァっ!」


赤き大鬼レッド・オーガと剣を交える。敵が大振りなのが幸い。剣筋が予想できる。お前の剣を避け、切り刻み続けてやるよ。


数十分の間、敵の腕だけを狙って斬りつけた結果、手から大剣を落とした。あとの動きは突進しかないだろうけど...まだ俺には剣だけでこいつを倒し切ることが出来ない。


「はぁ、はぁ、はぁ。コッケン!!魔力解放!」


ドス黒い魔力を解放し、コッケンの刀身に集中させ、赤き大鬼レッド・オーガの胸を突く。


「俺の魔力をありったけ持っていけぇ、魔力暴走!」


バァアンンッ


赤き大鬼レッド・オーガの肉片が飛び散り、辺りが血の海になる。


「オエッ、気持ちわるっ!はぁ、はぁ。しんどいわ。そっちはどう?」


「こちらは全て排除しました。ケンさんの邪魔になるかと思い周囲の警戒に入っています」


「さすがはユリさん...」


「私では、赤き大鬼レッド・オーガを倒すことが出来ませんでした。ケンさん、お疲れ様でした。クリーン」


「あ、ありがとう。生活魔法で血を落とせるのね...忘れてたよ」


「ここに居たら他のモンスターが寄ってきます。先に進みましょう」


魔法の強化は長時間続かないみたい、スキルの効果が消えた。30分くらいか、温存しないと不味いかな?


俺たちは森の中を進み、アプルの木を見つける。ユリさんがアプルを収穫し、俺に渡す。


「ケンさんがこの世界に来て初めて食べたものですよね。交易都市には売っていませんでしたが、栄養価が高く人気の実なんですよ?」


「へぇー、これがねぇ?美味いから良いんだけど。あー、美味い。戦闘後に食べるアプルは格別」


「ふふふふ、ケンさん凄かったですよ。最後の一撃は、見てて興奮しました!」


「そ、そう。君の興奮は別物にしか感じないのはなんでだろうね」


法悦した笑みを浮かべるユリさん。それに慣れてきてしまった俺。襲われないといいな...


あと少し先に俺が転移した場所に着く。




後書き


次回 逃走

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