第11話 どーも、鍛冶屋です

前回のあらすじ


主人公 買い物する



本文



どーも、騙す商人に指摘したオッサンです。

碌な奴いねーな。次の鍛冶屋もクセが強そうだし。昼飯をとってから鍛冶屋の情報を集め、店に到着する。頑固オヤジにはとあるネタがある。ネタって言っても小説あるあるだけど。最高の武器や防具は店頭に出してないことがあるから俺はその頑固オヤジにこのセリフを送ろう。


「どれも素晴らしい武器だが俺が求めるものはここにはなさそうだ」


「ああん?おい坊主、今なんて言った?もういっぺん言ってみろっ!」


「ここには俺が求める武器はない」


「お前に武器の良さが分かるのかっ!?ここにあるもの全て俺が一本一本魂を込めて製作したものだ。ふざけたことを抜かすやつは店から出てけぇ!!」


「ケンさん?ここにあるもの全て良いものですよ?どうしたんですか?」


ヤベェ、完全にやらかしたー!

でも俺には何となく分かる。この頑固オヤジ何か隠していることを。たぶんだけど...


「オヤジさん、あんた持っているだろ?あんたの最高の武器を...」


「オメェ、その情報どこから手に入れた?」


「情報なんてないさ。簡単なことだ。大事なもの、もしくは危険なものは職人なら店頭におかず管理しているだろ?」


「オメェ、何者だ?その目、確信している目だ。それに、雰囲気が他の者とちげぇな。隣の嬢ちゃんもだ」


「ただ生きるために必死に足掻いているだけだ。死ぬわけにはいかない、それだけのこと。だから、オヤジさんが隠し持っているものを見せてくれ」


「どうしてもか?オメェさん、覚悟しているだろうな?」


「覚悟?俺とその連れも初めから覚悟を決めている」


「名前を教えろ、それが条件だ」


「俺の名前は、タダノ・ケン」


「私は、タダノ・ユリです」


「はあ?ユリさん何言ってんの?俺の家名名乗ってんのさ」


「私、初めてケンさんの家名を知りました。それに私は貴方の側を離れる気がないので別に構わないでしょう?」


「ガハハハっ。おもしれぇ嬢ちゃんだな。この状況でその発言するたぁ、中々どうして。おい、ケン坊!男なら女の言葉にいちいち動揺してんじゃねえ!」


「はぁ、もういい。それでオヤジさんの名前を聞いていいか?」


「ガンツだ。オレはよぉ、テメェみてぇな死んで惜しい奴にこの剣を売るつもりだ...3振ある。1つは、名をケツメイ。効果は斬った相手の血を吸収し斬れ味が増す。それにその強い相手の血を吸えば斬れ味が格段に良くなるしその効果は永久的に続くし常に成長する剣だ」


真っ赤な刀身で突きと斬撃に特化している武器をユリさんが近づいて手に取る。

うわ、法悦した笑みを浮かべてるよ。それ、ユリさんが持ったらアカンやつじゃない?


「うふふふっ。私、これにします。この剣、私を呼んでいます」


「お、おう。ケン坊、オレぇヤベェもん渡したかもしれねぇ...剣と人が共鳴するなんて初めて聞いたぜ」


な、な、なんてもん渡すんじゃボケぇ!!鋭くガンツに目線を移し批難する。


「ケンさんの血を染み込ませたらどれだけ強くなるんでしょうか...うふふふ」


「やめろ、絶対にやめろ。お、オヤジさん、次だ!次の剣を見せてくれ!」


「お、おうよ。男に二言はねぇ。次の2振は合わせて1つの剣とも言える。名をゴウケツと言うんだが...ケン坊主よ、片手でこの剣持てるか?」


2振とガンツは言っていたがどう見ても1振しかない。とりあえず差し出された剣を持つ。


「見た目のわりに軽いなこの剣...」


「ほぉ、オメェ豪剣使いだな。それも天然もんの。その剣は、ただただ頑丈で決して折れないし刃こぼれもしない。純粋な暴力だ」


「さっきの剣といい、この剣といい、どこで素材を手に入れたんだ?」


「2振ともオレの爺さんが打った名刀だ...。素材はなんでも神龍の爪と鱗らしい」


「ガンツさん、貴方は何者なのですか?」


「嬢ちゃん、それは言えねぇな。オメェ、人族じゃねぇだろ?それを隠す意味と同じで、オレも同じような者だ」


「オヤジさんが何者とかどうでもいい。腕だけは確かな鍛治士なんだろ?それより最後の剣を見せてくれ」


「最後の1振は、オレが打った剣...というより魔剣だな。爺さんが保管していた神龍の鱗と魔力が異常に込められた合金を組み合わせて作ったものだ。ゴウケツと同じく純粋な暴力の魔剣だ。効果は、刀身で魔力暴走を起こしながら破壊することが出来る。しかもこれは血の契約者しか扱えない。まさにこの世で最高の剣だろうよ。20年掛けて完成させた名をコッケン。黒い剣そのままの意味だ」


「同じ素材だから2振で1つということか?いや、この剣...おいおいマジかよ」


頭に声が響く。目の前の景色が変わり目の前の額にツノを生やした2人の男と女が声をかけてくる。


「ほおう、豪剣使いの若造よ。我たちを見て動揺しないとは」


「豪剣使いが初めて現れたわね。貴方、名を何と言うの?」


「俺の名は、只野健タダノ・ケン。この世界の人間ではなく地球という世界から転移した者だ」


正直に応えないといけない気がした。圧倒的な存在感。神龍なのか?


「タダノ・ケン。貴方の意識を私たちの方へ強引に引っ張ってきたの」


「我たちは神に挑み負けた者。神龍と呼ばれていたが、封印されてからかなりの時をただずっと静かに暮らしていた愚かな者だ」


「おい、待て。それ以上話すな!絶対面倒ごとだろ?神龍?封印?神に挑んだだと...俺は普通な暮らしがしたいが為に武器を新調しただけなのに。くそ、これは一体なんだ?あれか?神とやらが俺のがこの世界に転移してきたのが関係しているのか。あり得ない、俺は平凡な人間だった...」


「お主が平凡なわけあるまいよ。我はお主の魂が雄弁に語っているのが見えおる。面白い男よな」


「ええ、そうね。だから私たちの体の一部で出来た剣が反応したのかもしれないわ」


「お主、この世界は嫌いか?」


「ああ、なぜ死と隣り合わせな世界が好きになると言うんだ。こんなに命が軽い世界なんて嫌いだ」


「命が軽い世界...そうだ、この世界はお主がいた世界とは違う」


「なぜ貴方が転移したかは分からないけど、なぜ貴方が転移されたのかは分かる気がするわ。この世界が貴方のいるべき世界なのよ」


「ぜっ...ぜん、意味が分からない。理解不能。というか早く戻してくれ。俺はもう帰りたい」


「クックックっ、お主は逃げられんよ運命から...豪剣使いのケンよ。我らの力を扱えし者でもあるからして、あるべき姿に世界を変えることが出来る男よ」


「ま、待って!」


「待てないわ、タダノ・ケン。私たちは貴方の剣として力を与えるわ。貴方なら心配ないけど、力に溺れないで」


また会おうという言葉を聞いて再び目の前の景色が変わりガンツを捉える。


「おい、くそジジイ。この剣のこと知っていたか?」


「爺さんから話は聞いていたが...神龍と会ったのか?それなら話が早いな。まさか本当に現れるとは思いもしなかったぜ!」


「何の話だよっ!!クソっ...この剣はかえ...!」


赤い刀身が俺に向かって突き出される。


キィーンッ


ゴウケツでケツメイを防ぐ。

先程から静かだったユリさんが突然どうした!?

碧眼だったのが血の様に真っ赤で瞳孔が金。


「くそジジイ、離れていろ。この店が倒壊してもお前のせいだからな!」


「ガハハハハッ!こりゃー、イイ!!ケン坊!」


「わーてるよ、こいつはユリさんじゃない」


「ふふふふふ。この娘はユリちゃんと言うのね。この剣の素材は私の爪と魔核なの。ユリちゃんは快く私に身体を委ねてくれたわ」


「何が目的だ、神龍?」


「貴方がその剣を返すって言うから、無理矢理でも持たせる為に...」


「勝手に俺に干渉するな、殺すぞッ」


「貴方、私の夫にそっくりね。ふふふふふ」


身体を乗っとるとか有り得ないだろ!しかも、俺に面倒ごとを押し付けようとしたりして、おかしいだろ。覚悟ね...いーよ。やってやるよ...















ユリさんごと神龍を殺してやる。




後書き


次回 神龍

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