第10話 どーも、情報収集です

前回のあらすじ


サービス回 エルフの愛



本文



どーも、久しぶりのお風呂に入ったオッサンです。勘違いしないで欲しいのだが、ちゃんと毎日清潔にしていたよ?


「ケンさんお待たせしました。ふふふ」


「機嫌が良いね、やっぱりお風呂は偉大だな。おっ、シャンプーとか使ったみたいだね。どう?」


「ふふん、病みつきになりそうになるぐらい素晴らしい物でした。早く部屋に戻ってこれを仕舞わないと...」


「そ、そうだね。客も増えてきたしさっさと部屋に戻ってゆっくりしよ」


急ぎ足で部屋に戻り入浴セットと着ていた服をカバンに仕舞う。水筒を取り出してコップに水を入れる。


「はい、水。今日くらいお酒でも良いけどどーする?」


「うーん、ケンさんが飲むならお酒にしますけど...私、お酒弱いんです」


「ならやめておこう。煙草吸うけど大丈夫?」


「父がよく吸っていたので私は気になりません。ケンさんは煙草を吸うのですね。ふふふ、1つケンさんを知ることが出来て嬉しいです」


煙草に火をつけ、窓を開け煙を外に出す。


「ふぅー。前の世界では毎日吸っていたけど、転移してからは生きる為に必死で煙草のことをすっかり忘れてたよ」


「そうですね、寝る時以外は常に周囲の警戒してましたしね。明日の予定をお聞きしてもよろしいですか?」


「べつこう...」


「一緒にっ!!行動するんです!!」


「はいはい、分かりました。明日は道具屋に寄ってマジックバックを手に入れる。勿論、そこでも情報収集することになるだろう。次に、装備を新調する。俺は武器にこだわりはないけど自分に合ったものがやはり良いと思う。最後に冒険者登録しようと思ったんだが少し迷っている」


「道具屋、鍛冶屋、最後に冒険者組合。身分証があった方が今後の旅に役立ちませんか?」


「いや、門兵が親切心で冒険者登録を勧めてきたのであれば良いが...魔人との戦争に冒険者が徴兵されることがあるかもしれないし情報を集めてから要相談にしよう。それに冒険者登録すると俺たちの行動が把握されるかもしれない。ユリさんのことが知られれば厄介なことになるしね」


「変装してるとはいえ、顔立ちまでは変えられませんので慎重に行動した方が良いですね。早くこの街から出るために食料なども購入しないと行けませんし」


「白金貨を使い切ってもいいからこの街で得られるものは全て揃えよう。このスマホで撮った地図の写真によると南下すると海を挟んで大陸がある。エルフの国はどのあたり?」


「奴隷商人が持っていたマジックバックの中身を移し替えることを考えると余分にマジックバックを購入した方が良いかもしれませんね。エルフの国はこの街から北上した先にあります。どうして聞いたのてすか?」


「確かにマジックバックは多くあっても困ることがないか...エルフの国についてはユリさんを捨てた者たちへの復讐と財宝が目的だね」


俺は煙草を携帯灰皿に入れ、窓を閉める。防音の結界を張る魔法の道具を起動させる。


「復讐ですか?...。それは、魅了的な提案ですね。私たちの糧になるのであれば同族がいくら死のうが私はかまいませんし、憎しみの気持ちはありますから是非復讐しましょう!!」


子鬼ゴブリンを殺して、騎士を殺して...罪悪感がないのはどうしてなんだろうか? 自分の手を見てからユリさんを見る。


「復讐するのも普通の生活を得る為には必要なこと。あれ? 何かがおかしい。普通ってなに?あれ...」


そっとユリさんが俺の手を包み込むように握り締めてくれる。


「ケンさん。普通の生活を手に入れるのに、何もおかしくありません。全て必要なことなのです。前の世界がこちらの世界より平和だったことは聞いております。ただこの世界はそうではないこと転移してすぐ認識したのですよね?」


「森の中に突然放り込まれたからね。空を見たら月が2つあって異世界だと認識した。それからワイバーンを見て...自分は無力だと無意識で思ったのか? だから生きることに必死になって...」


「その気持ちを忘れてはいけません。はい、お水飲んで一旦落ち着きましょう」


ユリさんは手を離し水...


「さり気なく血を混ぜるなよ。あーあ、なんかもう。考えすぎなのかもしれないけど常に考えないと生きていけないからな。頂くね、この赤い水」


一気に飲み干し味を確かめる。やっぱり鉄の味がしない。謎だ。この辺りも調べる必要がありそうだな。


「今日は素直に私の血を飲んでくれました!!ふふふふふ。私もケンさんの血が飲みたい...」


やらん。

俺は考えるのやめてベットに入り目を瞑る。


「今日は、もう寝る。疲れた。また明日ね、おやすみ」


はい、おやすみなさいと返事を聞き俺は眠りにつく。



この世界にはガラスの窓がない。朝なのか分からないがスマホにセットしていたアラームが鳴り目を覚ます。


「うー、ん!朝の9時?だいぶ寝たなぁ。筋肉痛がさっぱりなくなってるよ。そして俺の指を口に咥えているユリさん…なにしてんのさ」


「おふぁよぉあいまふ」


「その手を離せ、指を咥えるな。今後同じ部屋にしないぞ!」


「それは困ります。あ、おはようございます。よく寝れました!」


勢いで誤魔化しているな、こやつめ。

指を布団で拭って、起き上がり顔を洗い歯を磨く。さて、朝食はあるかな?宿の人に聞いてみようか。


「宿の人に朝食を部屋で食べられるか聞いてくるからその間に着替え済ましといて。戻ってくる際はノックを5回するから」


「分かりました、よろしくお願いします」


俺は部屋を出て宿の人に朝食の件について尋ねる。俺たちの分はしっかり用意してくれていて部屋に運んでくれるそうだ。


扉をノック5回し反応を待つ。鍵が解除され、扉が開く。


「おかえりなさい、私の支度は終わりました。朝食はお部屋まで運んで下さるのですか?」


「運んでくれるってさ。俺も着替えるから後ろ向いてて」


「別に見てても良いではないですか?私は見られても平気です!」


「まあ、いいか。減るもんじゃないし。さっさと支度してご飯食べて出かけよう」


着替えている間ずっとユリさんに観察される。君は慎みというものを持った方がいいよとは言わず支度も済ませて朝食をとる。食べ終わった食器と鍵を返却して外に出る。


道歩く人にオススメの道具屋と鍛冶屋の聞き込みし、情報を集める。品揃えの良い道具屋は宿の近くにあるらしい。その卸先の鍛冶屋もそこそこ有名らしいけど、頑固オヤジが経営する鍛冶屋があるとのこと。


「品揃えの良い道具屋に行って、頑固オヤジの鍛冶屋に寄ろう。ユリさんはどう?」


「私も何人か尋ねましたが、ケンさんと同じですね」


「品揃えが良い道具屋ってなんだろうね。なんでも売っているらしいけど...」


「ここですね、確か昨日この店の前通りましたけど結構人が居ますね」


「まあ、入ってみるか。へぇー、携帯食料も売っているんだなー。ここでは鑑定出来ないから信用するしかないね」


「お目当てはマジックバックですし、食料は市場があるらしいのでそこで購入しましょう?」


了解の意味を込めて頭を縦に振り、近くの店員に話しかける。


「すみません、マジックバックありますか?ご覧の通り俺たち荷物が多くて困っているんです。あっ、勿論こちらは白金貨の用意があります」


白金貨を10枚取り出し店員に見せる。すぐ、用意しますと言って料金の支払い場の裏に下がって5袋持って現れる。


「大変お待たせ致しました。こちらが当店のマジックバックでございます。容量が少ないものが2つ。お隣の女性が持っている荷物が入る程度ですね。実はこれが1番お値段がします。完全劣化防止の上にお客様の血を契約の印として本人以外開けられないように登録可能でございます。残りの3つ全てこの店内の商品が入ります。こちらは劣化防止が施されておりません」


「そうですか、まず1番値段が高い2つのマジックバックを購入します。いくらですか?」


「1つあたり白金貨15枚になります」


「では白金貨30枚払いますのですぐ血の契約をさせて下さい。荷物が重くて...」


「か、かしこまりました。確かに白金貨30枚受け取りましたので、マジックバックの中央にある花の刺繍に血を染み込ませてください。血の契約が完了しました。では商品を箱に...」


「いや、結構。支払いは済んだし、すぐ使う。よし荷物仕舞うか。あー、それと...。店員さん、次はもっと良いマジックバックを出さないと信用問題になるんじゃない?」


「えっ!どうして...!そう思われるのか聞いてもよろしいでしょうか?」


「俺は口が硬いから誰にも言わないけど、俺のパートナーは別だからね」


「まだ店内にいるあの女性と男性には私たちと同じマジックバックを白金貨8枚で売っていました」


「こらこら、指差し大声出しちゃいけませんよ」


「ね?店員さん、俺たちの格好を見て判断したのであればヤバいよあんた」


「さて、君の上司をパートナーが呼びにいった。この店は信頼第一で大きくなったと聞いたが...?」


ユリさんが別の店員を連れて戻ってきた。


「大変誠に申し訳ありません。正当な金額をご提示いたしますので何卒お怒りをお鎮め下さい」


「なら、血の契約が出来る容量大きいのを2つに特大のマジックアイテムとやらを1つ、また完全劣化防止のやつを頼むよ」


「勉強させていただきますね。3つ合わせて白金貨40でいかがでょう?」


「その金額でいいですよ。40枚確認してください」


ユリさんが即断即決し白金貨を渡す。数え終えた店員は、再度謝罪しマジックバックを手渡し、俺たちは血の契約を済まし店から出る。人目につかない路地に入りスマホで鑑定する。


「店員が言っていた通りだな。確認も済んだし鍛冶屋に行こうか。えーと、広場を出て北の方角に進んだ先にあると聞いたが...地図があれば分かりやすいのに」


「それは、仕方ありませんよ。さあ、行きましょう。けんさん」


人通りが激しい道を進んでいくと、広場に到着し近くのベンチ座り一休み。


「はい、お茶です。人混みに酔いましたか?」


「ありがとう。少し考えごとをしてただけ、気にしないで。あの奴隷商人は血の契約していたから、探知魔法が反応したんだな。やはり、情報はいくらあってもいいな」


「ええ、それにあの道具屋で販売していたロングソードは魔法を付与させて切り味を良くするものがありました。次の鍛冶屋に期待できますね」


「そうだね、ちゃっちゃと武器や防具揃えて食料を買い込んで明日に備えよう。あと知識として魔法の本も買い込んでおこうか」


まだ魔法について分からないことが多い。精霊魔法は、外的要因なら使用者自ら発動させる魔法に関しては内的要因なはず。手に入るものは全て欲しいが、世の中甘くないからなぁ。そろそろ行くか...




後書き


次回 鍛冶屋

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る