第9話 どーも、エルフの想いです
前回のあらすじ
主人公 騎士を殺し隠蔽する
次回タイトル予告を変更して投稿しております。
本文
どーも、交易都市に来て宿を探しているオッサンです。
宿を探す為街歩く人に声をかける。条件は、風呂あり宿だ。バキバキの筋肉痛をほぐしたい!数人に声をかけようやく良さげな宿に到着する。
「ようこそ我が宿へ。2名さまご一緒に宿泊で宜しいでしょうか?」
「はい、2日間宿泊予定です。先に代金払いたいのですが良いですか?」
「かしこまりました。部屋は2階の1番奥の部屋になります。お風呂場まで少し歩きますが、お部屋は広く、くつろげると思います。一泊朝の食事込みで銀貨10枚なのでお二人で20枚。二泊ご希望ですので計銀貨40枚にですね」
「では金貨1枚で支払いします、2日間よろしくお願いします」
銀貨60枚のお釣りと部屋の鍵を貰い、2階に上がる。
「ケンさん、ありがとうございます。一緒のお部屋にしてくださって」
「ああ、別に構わないよ。この交易都市に奴隷商人のことを知っている奴が何かしてくるかもしれないし、第一王子の件もある。用心することに越したことはないでろうよ。それよりゆっくり身体を休めよう」
「そうですね、早くお湯に浸かりたいです。あと森の中にいるような緊迫した感じではなく、まったりと今日は過ごして寝たいです」
ほんと、それな!ふぁーっ、欠伸が...もう今日は風呂入って寝よ。
「ここだな、おおー結構広い部屋だね。清潔感もあるし...なんでベットひとつしかないんだよ。うーん、確かに2人は余裕で寝れそうだけどさー...」
「別に良いじゃありませんか! やましい事する訳でもありませんし...」
「ユリさんがそう言うなら良いか。とにかく荷物置いて風呂いくか。イタッ!! 何するのさユリさんや?」
「やましい事はしませんけど、少しはその...いたずらしても良いですよ? そんなに私、魅力ないですか?」
「あー、とても魅力的な女性だと思うけど...今後の旅に影響が出るのは避けたい。それに申し訳ないけど、俺は将来大切な存在になる人以外いたずらも手も出さないよ」
「ふふふふ、なら安心してください。将来大切になる人はこの私です!!」
俺は無言で入浴道具と着替えを取り出して部屋を出る。はぁ、ユリさんがまた暴走してる。吊り橋効果で好きになったんじゃない?と俺は思っている。彼女の気持ちは嬉しいけど、応えることは今は出来ない。うん?背後から...
「うおっ!! あぶねぇ。いきなり殴りかかるなよ、こえーよ」
「あら、手が滑りましたわ。うふふ」
この女、絶対マジだった。死合いした時にレイピアで突く攻撃に近い速さで顔面に向かって拳を振うとは恐れいるぜ、全く。
「ユリさんと一緒にいると刺激的な生活になりそうだ、あはは」
皮肉たっぷりに言い放つ俺。
「そうですね、ケンさんと一緒にいると退屈しない生活になりそうです、うふふ」
皮肉たっぷりに言い返される俺。ちくしょう。
「前にも言ったが、普通の生活を望んでいる俺は刺激なんて望まない。ほんと、平凡な生活で良いんだよ」
「ふふふ、そうでしたね。その為ならなんだってするお人ですよね」
お風呂場に到着して男湯と女湯で別れる。
※ユリ視点
「はあー、ケンさんは普通の生活なんて訪れないと思いますが...そもそも普通の生活をする為に何でもすること自体が普通ではないというのに」
ケンさんに出会ってから私の世界が変わった。ううん、違う。ケンさんが私の世界を変えているの。これからもそう。この残酷な世界で私の世界を魅了的にしてくれるわ。このローブは初めてケンさんから貰った宝物。ボロボロになってしまったけれどとても大切なもの。
「ふふふふ、今思い出してもあの姿...ゾクゾクしちゃう。それにケンさんの血、とても美味しかった。私の血とケンさんの血が混ざってると思うと興奮しちゃうわ。いけない、いけない。早くお湯に浸かって身体を綺麗にしなくては」
この世界はとても残酷でとてもつまらない。私はこの世界で生まれて両親から愛情を持って育てられた訳ではない。政治の道具、ある程度の武力を身につけ男性受けの良いように教育を受けた。生きる意味は嫁いだ先の男の子を産む事だけ。毎日厳しい指導に兄や姉からは私の才能や美貌に嫉妬して嫌がらせを受けていた。
「別に私はそこまで綺麗でも才能がある訳じゃないわ。本当に才能があるのはケンさんよ。外見だけじゃない、本当の魅力はその人の考えや行動。そして渇望かしら」
顔を洗い、髪をお湯で流す。髪を洗う為にシャンプーとやらを手につけ洗う。これはケンさんから渡された物。前の世界からこちらの世界に来た際に持っていた持ち物らしい。ケンさん曰く、買い物をなるべく減らしたいということから買いだめする日に転移したとのこと。
「とても良い香り、すごい。とても泡立って汚れも落ちている気がする。ケンさんからはお風呂に1人だけだったら使っても良いと言われたけど、たしかにこれはこの世界にない物ね」
お湯で泡を念入りに落としてトリートメント?をシャンプー同様に行い、最後にコンディショナーを手に取り髪に馴染ませ洗い流す。
「こ、これは...本当にスゴい。はあ、ケンさんの世界はスゴいのね。身体を洗う液は、ボディソープを使ってだったかしら?」
布にボディソープを染み込ませ身体を洗う。入念に洗い、お湯でしっかり流す。
「今まで使っていた入浴剤とは比べものにならないわ。一度脱衣所に戻ってこのボトルを閉まってからお湯に浸かる、ケンさんとの約束」
決してケンさんの持ち物を見せてはいけない。それがケンさんとの約束。とても慎重だと思われるけど理由が分かる気がする。
脱衣所から戻り、お湯に浸かりながら私は身体を伸ばす。
「うっ、んっ、はぁーー。気持ちいいー。お風呂がこんなに気持ちいいなんて前の生活の時とは全く別ね」
ケンさん...ケンさん、ケンさん、ケンさん。
ケンさんは気づいてないかもしれない。交易都市に来てからも私は他の人族とケンさんは別だと考えている。あの目...目の中にある執念のような想いがある。生きる為に、自分の力で生き抜く為に。他の人族は違う。変装のネックレスをしてても私に劣情を向けてくる目。同性からは嫉妬の目。渇望とは違う、あれは欲望。
「ふぅー、でも私はケンさんに対して劣情や欲望な目をしてしまっているわ。私もそこら辺にいる人族と一緒なのかも」
吊り橋効果?とかケンさんは言っていたけどそんな安い感情ではないのは私自身理解している。あの人から離れてはいけない。離してもいけない。ケンさんに近寄るメスは排除しなくてはいけない。
「ふふふふ、明日が楽しみなんて思う日が来るとは...本当に目が離せない人だわ」
お風呂から出て脱衣所に行き、髪と身体を拭く。生活魔法で髪を乾かして下着と服を着る。ケンさんはお風呂から上がったかしら。あっ、待っててくれた。
私は愛し、敬愛し、深愛しているケンさんに声をかける。
「ケンさんお待たせしました。ふふふ」
後書き
次回 情報収集
タイトル通り更新致します。
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