第15話 沛然
配膳を受け取ってから、部屋のすみに座り、夕食を食べ始めた。
「いただきまず」
カレーソテーを口に無理やり入れこみ、僕は義務的に箸を進める。
味がしない。
盛りつけのサラダ、ワカメスープを胃袋に入れこむ。
ワカメのぬめりが舌に絡み、萎びたキャベツと口の中でミックスする。
お腹には何か得体の知れぬ怪物が潜んでいるみたいだった。
落ち着かせようと深呼吸をした。
ウウッと呪いがやってきて、食事を中断し、僕はすぐにトイレに行った。
「うぐっ。うえっ」
前かがみになってそのまま座りこんだ。
こうしたからといって誰かが僕を許してくれるわけじゃない。
人差し指を口に入れ、咽喉を刺激する。
においは僕の顔を包み、その腐臭からさらに吐き気がした。
吐き終えたら、頭がくらくらする。
こんなことをしても変わるわけじゃない。
むしろ、女の子たちをバカにしているのに、と今さらになってすごく後悔した。
ホールに戻って僕はソファーに座った。
「……早く死にたい」
胸のむかつきが止まらない。気管が収縮したように感じる。
「死にたい……。死にたっい!」
口の中がヒリヒリして痛かった。
また吐きそうだった。
傍目から見たら僕はただの病人にしか見えないだろう。
これでいいんだ、と思った。
食事をしつこく拒めば、何かの拍子で死ねるかもしれない。
それなら、死んだ女の子たちも成仏できる。
でも、司法は少年である、僕を簡単には殺せないのだから、こんなことをやっても意味がない。
悪寒が止まらず、ソファーの上でかがんでいると、真っ黒に日焼けした少年がとなりにやってきた。
「おい、お前ってさ、中学生なんだろ?」
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