8.貧乳学生はお持ち帰りされない
専門学校生は、浪人・留年などを加味しなくても、二年次には二十歳になる。二十歳になると、私はクラスメートとたびたび夜の新橋に繰り出すようになっていた。
飲み始めの頃は、アルコール耐性もそこまで強くない……というよりは、飲み方を知らないので、たまに潰れてしまう事があった。そうなると、電車に乗る前に駅前の公園のベンチで寝込んでしまう事があったのだ。
私はクラスで紅一点という立ち位置で、順当に行けばモテモテの逆ハーレム状態を築けたはずだ。しかし、眼鏡で真面目そうな容姿に加えて貧乳という残念な体型では、そこまでモテる事も無く、また、セクハラをされるという事も無かった。
クラスメートと飲むという事は、相手は男であるという事である。男子たちもヤリたい盛りの年代であり、チャンスさえあれば据え膳を食おうと思うのが自然の流れである。
しかし、私は公園で寝ていても、一度も襲われる事もセクハラ行為をされる事も無かったし、ホテルに連れ込まれる事も無かった。
公園で寝る時は、大抵身長百八十センチ超えで体重百キロ超の友達と、柔道初段の友達の屈強な二人に見守られていた。彼らは、酔って寝ている私にムラムラしなかったのだろうか? いや、していたら何かしらの方法で私をお持ち帰りしていただろう。しかし、彼らは一度もそれをしなかった。
モデル体型、と言えば聞こえは良いが、要はヒョロヒョロの貧乳の貧相な身体付きだった私だ。日頃から巨乳女子のイラストやエロゲーに親しんでいる彼らは、私に性欲を抱く事が無かったのだろう。だからこそ、私は安心して公園で居眠りが出来た。
ある意味これは、体型がもたらした幸運だ。ここでヤラれてしまっていたら、私の心には深い傷が出来ていた事だろう。付き合ってもいない人間に体を許せるほど私は貞操観念が緩くはない。貧乳にだって、プライドはあるのだ。触らせるのは、好きな男にだけなのだ。
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