紅葉狩り

 木々の葉が色付いてきて、鮮やかな秋がさらに深まってきた。

 冬の到来を待っているようだ。


 紅葉とは、落葉広葉樹がその葉を落とす前に起きる現象のこと。

 赤や黄色、オレンジと色とりどりで目に鮮やかだ。どうやら最低気温が8度以下にならないと色づかないらしい。



 山々の色付き方は、紅葉のフラワーアレンジメントのプロでもいるかのように色のバランスが絶妙だ。

 山道を歩けば、しばし別世界へ来たかのような幻想光景に我を忘れる。





 こんな時は紅葉狩りに限る。

 簡単な梅干し入りの海苔付き塩むすびと漬物、温かい緑茶を持って出かけよう!

 ファッションより冷え対策を第一に。

 帽子を被れば、温かい上、天からの落下物も防げる。

 一枚敷物を持っていこう。たくさん紅葉もみじを鑑賞しながら、ゆっくりゆったり歩いたあとのご馳走のため、落ち着いて座れるところを探す。



 少し歩いて、大きな切り株を見つけた。シートを敷いて二人で腰かける。

 塩むすびがここでは贅沢な味に変わる。

 沢庵たくあんを一切れ頬張り、ポリポリポリ。そして、海苔と一緒におむすびをパクリ! うーん、硬すぎない米と塩加減と海苔の香ばしさで、ついつい笑顔になる。

 ゴクリと緑茶で流し込む。ふわぁと体が温まる。あ〜ぁ、美味しい! 新茶の香り。



 時折飛び出してくる野生のリスに驚く。いい匂いに釣られて来たのか?

 周りはしんと静まって、落ち葉があちらこちらでカサコソ小さな演奏会を続けている。



 帽子に落ちた紅葉もみじが、まるで可愛いブローチみたい。山のお土産頂きながら、今度は家路に向かう頃。

 ヨイショとリュックを背負い、一歩ずつカサコソ落ち葉を踏み鳴らす。

 帰り道、私たちはまたこの山の演奏会に加わった。



 涼しい風が吹き抜ける。落ち葉の芳ばしい匂いを舞いあげて。

 思い切り深呼吸。明日からまた頑張れる、そう思えるのは、秋の山の癒しの効果なのかもしれない。


 今度はみたらし団子をおやつに持っていこう! 紅葉狩りは行きつけの癒し処だ。

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