第4話

りえはそれを慌てて止めて、「違うよ! そんな……、突然だったし!



暗かったし!」とパニックになる。



「どういうことか、ちゃんと説明してね?」



微笑んでそう言うソラに、仕方なく今朝のことを話すこととなった。



「ふぅん」



話を聞き終わった後で、ソラがりえと国方を交互に見つめる。



「だから、突然で私もビックリしちゃって」



りえは、息をはきだしてそう言った。



もちろん、国方がタバコを吸っていたことは秘密にしているが、なんとなくの流れでそれもバレているようだ。



「意外と反応してたくせに」



ニヤニヤしながら、国方がりえをつつく。



「してないわよっ!」



カッと頬が熱くなるのが分かる。



「じゃぁ、私ともしましょ?」



ソラが突然そう言い、「は?」と、りえはキョトンとした顔になる。



「キス。この男としたなら私とも出来るでしょ?」



真剣な表情のソラに、りえの顔からも笑みが消える。



「まさか、そんな……」



わざと明るい表情にしようとするが、ソラの目がそうさせない。



「目、つむって」



有無も言わせないソラの声。



りえは思わず唾を飲み込み、ギュッと目を閉じた。



その瞬間、口に触れる微かな柔らかさにビクッと体を硬直させる。



「りえ、勝手に他の人とキスしたら絶対に許さないからね」



まだ目を閉じたままのりえに、突き刺さるように言うソラ。



そっと目を開けると、そこにはいつもと変わらぬ様子のソラがいた。



「うん……」



りえは思わずそう頷き、三人は午後の授業が始まるチャイムにも気づかなかった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る