【脱出】

もうアスカと京太郎は、超超巨大な宇宙船の船外にいます。


ザクザクした月面の小さい岩が無数にある、緩い坂道を上っています。


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少しだけ上に、岩石が突き上がったようなところを抜けると、そこは、途轍も無い広さの平原でした。


「大昔の、クレーターの跡ね」


アスカが、言いました。


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何か、小さくてボンヤリした無数の光が、飛び交っているようです。


「あれは、鬼神や魔神、半神たちね。私たちを、誉めているのよ」


小さな光たちが、アスカと京太郎の体内にも、入って来ます。


すると、身体のどこか、奥の方から、暖かい、それでいて力強い力が、京太郎の身体を、いっぱいにしました。


「私たちと一緒に、生きたがってる。地球に帰りたがってるのよ」


############################


アスカが、京太郎のすぐ前に、立ちました。


京太郎は、なぜか当然のように、アスカの身体を抱きしめます。


アスカも、京太郎のうなじまで、両腕を回して、京太郎を抱きしめました。


「行くわよ」


スッ


無音で2人の身体が浮き上がり、ボンヤリと光ってから、さらに物凄い速度で上昇し始めました。


############################


元々、今回の接近で、月と地球は近くなっていましたが、驚くほどの早さで、地球が大きくなっています。


「成層圏に、入るわ」


次の瞬間、抱き合ったアスカと京太郎は、物凄い風の中で、猛烈な速度で落下し始めました。


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