【サングラス】

ずっと、ずっと走ります。長い長い通路が、やっと終わりました。


行き止まりに見えた白い壁が、縦長の入り口になりました。


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「ハァ、ハァ。ここまで来れば、もう大丈夫じゃないんですか?」


サングラスの1人が、言いました。


「阿修羅は、一度狙った獲物は、絶対に逃さない。もう、来るわ!」


それを聞いた京太郎とサングラスたちが、ドームの中央付近まで走ります。


アスカも、当然のように付いて来ました。


「あっ!」


さっき通ったばかりで、今はドームの内壁になっていた部分が、消し消えて、大きな穴ができています。


そして、大穴のすぐ前面に、いました!

身長4mはありそうな、阿修羅です。


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「サングラスの2人、すぐに向こうの出口に走って、そこから逃げてください。お願い!」


「アスカ?」


「もう、あなた方では、力不足、戦力にならないんです!」


京太郎が、アスカの顔を見ます。


アスカの、とても綺麗で、とても大きい両目が大きく開かれ、涙が、涙が零れています。


そして、その涙は、ドームの固い床に、大きな水たまりを作りました。


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「私が、協力します」


「!」


「これは、SLCVEFG-4309号」


シュ


頭の上の方から、綺麗で胸の大きい女の子が、一回転しながら落ちてきました。


身体にビッチリ食い込んだ、レザー製の黒い服を来ています。


ハイレグの、かなりエゲツナイ水着にも、似ています。


「アスカ様、アスカ様が京太郎を、心の奥の奥まで好きなように、私は、ちょっとマヌケで愉快な、サングラスの2人が好きになりました。ここで一緒に戦い、一緒に死にます!」


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ドームを抜け出したアスカと京太郎は、あれから随分、走っています。


「あそこに上向きの開口部があるわ。私が先に飛ぶから、京太郎も続いて!」


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物凄い速度で、上に飛んだアスカと京太郎は、一瞬で開口部の上の出口から、その先のフラットな床に着地しました。


ズズズ・・


深い深いところで、とても悲しく寂しい、鈍い音がしました。


サングラス、あの11号、ぽの256号。


そしてSLCVEFG-4309号が、死にました。


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2人はどちらも、私立龍門渕高校の卒業時席次1番、龍門渕物産でも優秀な成果を挙げました。


2人のご両親にとっては、さぞ自慢の息子だったでしょう。


言葉が、見つかりません。


「京太郎、この超超巨大宇宙船に入って来た入り口、覚えてるでしょ。あそこから、船外に脱出するわよ!」


アスカが、言いました。


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