【阿修羅】


阿修羅は、右に左に、あるいは上下に、目にも止まらない速さで、迫って来ています。


「あの阿修羅は、眉間と両肩。両手、それに2本の太ももに、超強力なレーザービームを内蔵しています。目には、見えません。気が付いたときには、胴体が両断されます!」


超強力なレーザービーム・・


京太郎、どう反応していいか分からず、身体が固くなっています。


「サングラスさん!すみませんが、お2人では力不足です。あちらに、開口部に続く道がありますから、そっちへ逃げてください」


「はい」


サングラスたちが、走って行きました。


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「京太郎!」


「なに?」


「私も、サングラスたちを追います。彼らの足は速いけど、そうも言って、いられないから。飛翔魔法で、サングラスさんたちを、両腕で担いで飛びます!」


「京太郎は、私の家にあった無数の、超古代の書籍をいっぱい読んだでしょ。だから、大丈夫」


「京太郎たった1人に、ここを任せます!」


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そうまで言われたら、やらないと京太郎じゃないです。


「って言われても・・」


京太郎の動きに、統一感がありません。


「何をやっているのです、京太郎!」


「?」


「私です。SLCVEFG-4309号です!」


「ってお前、テレパシー使えるのかよ」


「当然です」


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「京太郎。アスカ様が仰っておられた、無数の書籍のことを、思いなさい。ならば、自然と、できるハズ」


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阿修羅が、もうすぐそこに、近づいています。


「いくか。あの呼吸法!」


京太郎の尾骶骨の奥底から、漆黒の力が、右向きの回転力で回転しながら、京太郎の臍(ヘソ)の上、横隔膜を、熱い塊が通過し、そして海馬から脳内を通って、やがて美しく、そして寂しくて悲しい曼荼羅を描きました。


「よし。行くぞ!」


京太郎が、激烈な右ストレートパンチを、放ちました。


そして。阿修羅の分厚い胸の、ちょうど心臓部を直撃!


「ハートブレイクショット。一瞬、お前の心臓は停止する!」


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阿修羅が、物凄い勢いで吹っ飛び、さっきの開口部から、下に落ちていきます。


「良くやりました、京太郎」


SLCVEFG-4309号が、京太郎を褒めています。


「さぁ、アスカ様が行かれた方向へ、全速力で翔びなさい!」


「おう。スタコラッシュ!」


京太郎が、飛翔魔法で、一目散に飛んで行きます。


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アスカと京太郎、2人が風のように、飛んでいます。


「アスカ、俺もサングラス1人、受け持つから!」


アスカが後ろも見ずに、1人投げ渡します。


「I gotcha!」


京太郎が、受け取ったサングラスを、左腕でしっかりと保持しました。


「京太郎、あそこ!あそこの開口部から下に、全力で落下するわ!」


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アスカが先、その後を京太郎が、重力の自由落下を超える猛烈な速度で、真っ逆さまに飛んでいます。


5秒、4秒、3秒、2秒、1秒!


そして90°急旋回!


広い、明るい通路に出ました。


「ハァハァ!死ぬかと思いましたよ!」


サングラスの1人が、大声で、でも力無く言いました。


「さぁ、あそこよ。あそこにドーム型の巨大爆弾実験場があるわ」


「走るわよ!」


京太郎も、サングラスたちも、気が軽くなって、飛ぶように走っています。


「月面ですから」(SLCVEFG-4309号)


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