【あの夏の想い】

少し歩くと、小さな部屋に入りました。


「永遠の輪廻の王女様、アスカ様。途轍もなくお久しぶりです。26億4372日ぶりです」


声の方を見ると、直方体の黒くて固くて薄いものが1つ、浮いています。


「黒くて固い?京太郎さん、それは失礼ですよ」


はぁ、すいません。


「本当に久しぶりね。SLCVEFG-4309号」


「はい、アスカ様。私はいつも、いつまでも貴女の、召使い主任です」


############################


「じゃ、サングラスさん。例のものを」


「はい!」


サングラスの1人が、まるでフロッピーディスクみたいに薄いディスクを、黒い背広の下から取り出しました」


そして、アスカに手渡します。


「SLCVEFG-4309号」


「はい」


すると、アスカのとても細くて白くて、切ない手のひらから、ディスクが消えました。


「はい。これで、月の落下は停止しました。今は、元の位置に戻りつつあります」


「えっ、これだけで?」


「私、SLCVEFG-4309号は、いつでも完璧に正解です」


「終わったー・・」


皆んなが、力なく、それでいて嬉しそうに、笑っています。


アスカも、そうです。


############################


「さぁ。月の軌道から脱出するための小型宇宙船が、あちらにあったハズです」


アスカが、先に歩き出しました。


京太郎も、サングラスたちも、足取り軽く、歩いて行っています。


横の方に、何か断崖絶壁のような、下方向への大きな空洞があります。


「ん?」


「あれは!?間違いないわ。あれは、この超超巨大宇宙船に普段は隠されている、恐るべきモノ。狂戦士です!」


アスカが、珍しく叫んでいます。


「来たわ!」


絶壁のような、底しれぬ地下の地下から。ソイツは、現れました。


「これは、まるで阿修羅!?」


京太郎も、戦慄しています。


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