王都決戦編

第4話 王都決戦編 前編

「そんで次はどこ行くんだよ?」



「…ギルドハウスよ」


「俺たち2人しかいないのにギルド組むのか?」



「仲間は後々集めていくわ。」



「あっそ…」



「……聞かないのね。」



「…お前の正体か?」



「…ええ」


「まあ、大体予想ついてるけどな。」



「…それでも、私と旅を続けてくれるの?」



「…『剣の修行させて』って言ったの誰だっけ?」


「ユウジ……」




ユウジ達がギルドハウスへ向かう途中、

黒い2つの影が一瞬━━━━━━2人に斬りかかった。

が、間一髪ユウジとシューナは剣で塞ぐ。




「お前ら…何者だ?こんな人気ひとけの少ない所で」




「……我々は【影の軍勢】。

…剣王ユウジ、今日はお前には用はない。」




「ユウジ!こいつら…」

「ああ、分かってる。…いくぞ!!」



「ええ!」



ユウジが声をかけると同時に、シューナの周りに魔力が漂い始める。




「シューナ!こいつら手強いぞ!気ぃ抜くなよ!!」



「言われなくとも分かってるわよ!

……風よ、アタシに力を貸して!

風神斬ふうじんざん!!】」




シューナの2つの刀から繰り出される風の刃が2つの影を襲う、片方は完全に防いだが、もう片方はまともにくらい体勢を崩してしまった。

その瞬間を見逃さなかったユウジが、敵の懐に潜り込み…





「残念だったな、影の軍勢。」





「く、くそおおおおお!!」




ユウジの斬撃を受け、倒れてしまった。それを見た片方の男は一瞬で行方を眩ませた。

倒れさせた方に近づき、ユウジは胸ぐらを掴む。



「…さあ、いろいろ話してもらおうか」





「……フッ」



「!?おい!やめろ!」




男はおもむろに、ポケットから注射針のようなものを首へと刺した。

その瞬間、まるで体全身から力が抜けたようにユウジの手から滑り落ちる。





「…クソっ!!」




「ユウジ…」



「シューナ…まだ終わってないぞ。」




騒ぎを聞きつけたのだろうか、王都の兵達が気づかぬうちにユウジ達を包囲していた。その中から隊長と思わしき人物が前へと出る。




「…何か騒がしいなと思ったら、人殺しか…さっさとお縄に着いた方がいいと思うぞ?」



「待って!!アタシ達は何もしてない!!」



「何もしてない奴ほどそう言うが…さてはお前ら【影の軍勢】か?」




「…シューナ、ここは俺に任せろ。」



「ユウジ…でも!」

「いいから」





「おい、王都兵隊長さん…この件に関しては【騎士団長アルベルト】と話したいんだが。」





「……お前の様な人間がァ!!アルベルト団長と話せると思うなよォ!!」





兵隊長がそう言うと同時にユウジに襲いかかってくる。



「…しゃーねえな、アレ使うか!」




ユウジがそういうと、彼の周りから魔力が溢れ始め、数秒後の後に彼の手元には巨大な禍々しい大剣が構築された。

その剣を見た隊長…いや兵隊全員が身を固めてしまう。




「そ、そ、その剣は!【竜王剣レーヴァテイン】!!…ま…まさかお前は!!」







「…これでやっと、団長と話せるようになったかな?」






数分後…




「………すまなかった!!!【剣王ユウジ】!」





兵隊長が頭を地面に下げ謝罪の体制をとった瞬間、他の兵隊たちも地面に足をつける。




「っておいおい!そこまでしなくとも…」



「いや!ホントに申し訳ない!!この非礼何とお詫びしたらいいか…」



「いやいや…いいよ……あ、そうだ。そしたらアルベルトに会わせてくれるか?この件と【コイツ】について話がしたい。」



「え、アタシぃ!?」





「そちらは……って【シューナ姫】!?なな、何故ここに!?というかなぜユウジ殿と!?」



「え…えーと、これにはいろいろあって…」



「…やっぱりな。」




指摘された瞬間たじろぐシューナ、それも意に介さず、兵隊長は兵隊に声をあげる。



「2番隊兵隊全員に告ぐ!!【剣王ユウジ】と【シューナ・アルストロメリア姫】を死んでも王城へと護送せよ!!」




「「「「「はっ!!!!!」」」」」





「これでようやくおうちに帰れるな、シューナ。」



「もう!アンタなんか知らないっ!!!」










〜王城・団長室〜



「失礼します…」



ユウジとシューナが扉を開けると、

そこには金髪で顔の整った綺麗な男が座っていた。



「ああ、入っていいよ…ってユウジ!?……っと姫!?なぜ二人がここに?」




「まあ…いろいろあってなアルベルト、今日は『影の軍勢』について話があるんだ。」





「…ユウジ、君には【あの時】から毎回驚かされるよ…もう知ってるんだね。」



「知ってるというか、それを名乗るヤツらと戦ってな…」



「もう戦ったのか!?それで!?何か情報は…」



「そう焦るな…聞こうとしたら自分から逝った。」



「そ、そうか……ところでシューナ姫なぜ彼と一緒にいるんだい?」



「そそっ、それは…け、け、けっ」


「け?」



「結婚したいの!ユウジと!!」





「そうか…姫も…大人になったんだね…」



「ってアルベルト!?なんで泣いてるの!?」



「いやっ…君も成長したなって…つい…」



「アタシとアンタ4つしか変わらないじゃない!」




「…ああ、でも遂にこの時が来たんだね。

…それなら王様にユウジを改めて紹介するといいよ、久しぶりに姫に会えて喜ぶだろうしね!」





「ええ!ありがとうアルベルト!!早速お父様の所へ行ってくるわ!!」



「っておい!!勝手に話を進めるなぁ!!」












〜王城・玉座の間〜



煌びやかな扉を開けるとそこは、黄金で包まれた部屋の中央には深紅のカーペットが敷かれ、その先には大きな玉座に1つ、王が君臨していた。




「お父様!!お話が…!」



「おおシューナ、家出にしては早かったな!…それで、話とは?」



「お父様!アタシっ…結婚したい!!」




「誰と?」


「ユウジと!」


「いいぞ」


「いいの!?」


「ユウジとは…あの【剣王ユウジ】だろ?それなら今すぐ結婚式を…」






「ちょっとまったあー!!!!!!!!」






そういうと王室の大きな扉がバターン!!と大きな音を立てる。





「おお、剣王ユウジ。久しいなぁ」


「久しいなあ、じゃなくて!王様!異論は無いのですか?」



「無いぞ。…というかお主は嫌なのか?私の意見が…」



「そうよユウジ!の意見に反論するの?」






(シューナ…あのヤロ〜)


「アルストロメリア王…ありがたきお言葉、大変嬉しいです。ですが、ワタクシとも言えど彼女を守れるかいささか不安でございます。

…なので結婚式は後日にして頂けないでしょうか?」



「そ、そう!お父様!アタシ…ユウジと旅をしたい!!そして最強になったら結婚式あげよ!」





「そ、そうか…シューナ、お前がそこまで言うのならば………分かった。結婚式はお主らの旅の果てに催すとしよう。」




「やったあ!!!!…ほ、ほらユウジ!!アンタも喜びなさいよ!」


「ヤ、ヤッター」




「全然気持ち入ってない!…そ、そうと決まればもう1回ギルドハウス行くわよ!!

お父様、行ってきます!!」


「おい!!ちょっと待てよ!!」






……………

……


数分後…



「アルベルトよ…シューナはどんどん大人になっていくな…」



「ええ王様…その通りでございます。あまりの成長の早さにワタクシ……涙を禁じえません…」














〜ギルドハウス・王都〜



2人はギルドハウスに着くと、受付の女性が用紙を手渡す。




「了解しました。ギルド名は何にしますか?」



「そうね……【アルストロメリア】にするわ!」


「そのままじゃねーか。」



「いいのよ!これで!!」




「…【アルストロメリア】ですね、了解しました。初心者冒険者さんのギルドなのでDランクとさせていただきます。

そして最初に受けていただくクエストは…」




受付の女性が受注用紙を手渡そうとした瞬間、ギルドハウスの扉で男が大きな声を荒らげる。





「おい!!!影の軍勢が攻めて来たぞお!!!」






次回、影の軍勢VS王都が始まる!!


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