第3話 妖刀と霊刀

〜王都付近の山道〜



「ってホントに王都に行くのね…」


「嫌か?」



「っ……嫌じゃ…無いけど…」


「…そっか。」



「ってかユウジ!!さっきの双子姉妹とどういうかんけいなのよ!?」


「あーあいつらか?あいつらの親は俺が…いや、親がいなくてな!俺が一時期引き取ってたんだ。」



「ふーん…」



「なんでそんな不満そうな顔してんだよ」


「い、いやあの子たちの魔属性【闇】でしょ?珍しいな〜って思って。」



「……確かにな。」



「…何よアンタ、さっきからテキトーな返事ばっかりして!…まさかホントにアッチの関係とかあるの!?」



「いや!!全然ねーよ!…まあホントの事を言うとアイツらの親、俺が殺したんだ。」



「え…?」



「【魔界の王】アッシュバーンって聞いた事あるよな?」



「ええ、この世界を全て闇に覆おうとした悪魔の帝王…よね?」



「そ、そんでそいつの娘。」



「…ホントにそれで良かったの?」


「…分かんね、あいつらが良いんならいいんじゃね?」



「何よそれ!」


「……さ、着いたぞ。王都にな」







【王都アルストロメリア】

王が治めるこの国、アルストロメリアは物流の国と言われており、生活必需品だけでなく武器や防具、骨董品以外にもさまざまな品物がこの国を中継地点として流れており、原住民だけでなく、多くの商人や観光客、傭兵達が活動している。





「…ここも変わってないわね」



「来たことあるのか?」



「来たこともあるもって私はこのく……いえ!なんでもないわ!さ、さてここに来たんなら何か買いに来たんでしょ?」



「おう、少しここで防具を買おうと思ってな。」


「いいわね!アンタは普段防具何使ってんの?」



「いや、俺は防具要らねえかな。攻撃当たんねえし、それよりお前の防具買おうか」



「いちいち癪に障るやつね…いいわ!そこまで言うんならアンタに買ってもらうわ!」



(結局奢ってもらうのかよ…)











〜アルストロメリア王都・市場〜




「やっぱりここはいつ来ても賑やかね〜」


「ああ、人がいっぱいだな。」





「おおそこのカップル!ウチの装備品どうだい?」



少し太り気味の中年の男が声をかけてきた。高級感のある装備品が男の周りにズラっと並べられている。




「ほう…かなりいい剣だな」


「お客さぁん、ずいぶん分かってらっしゃる…もしかして剣の達人だったりして?…ささ、購入しますか?」



「そうだな…とりあえず女性用のチェストプレートとレガース、あとブーツを頼む。」



「へへ、了解!ちょいとお待ちくだせぇ。」





商人が装備品を探しているとシューナが耳元で小さく呟く。



「ちょっとアンタ、このおっさん信じて大丈夫なの?」


「ああ、俺が見た感じ品質はホンモノだ。…だが【何か】隠してるみたいだけどな。」





「お客さんこちらが装備一式です。」



「ああ、ありがとう。……後何か【隠してるモノ】あるよな?」



「……お客さァん、分かっちゃいますか。」



「まぁな、これ程の威圧感、感じらずにはいられないな。」



「さすがお客さぁん、それなら隠してもしょうが無いな……」




そういうと商人はおもむろに隠していた武器を取り始める。数秒後禍々しいオーラを纏った剣…というよりは刀が2本取り出される。



「こちらがその武器【霊刀イザナミ】と【妖刀羅刹】でございます、この刀が恐ろしすぎてわたしには布越しでしか触れることしか出来ねぇ…」




(…このオーラ、さすがにシューナには厳しいか)



「商人のおっさん、せっかく見せてもらって悪いがこの武器は……」「アタシが使う。」



「!?お、お嬢ちゃん!さすがにそこの兄ちゃんならまだしも、…こんなことは言いたくないが……死ぬぞ?」



「…シューナ、本気か?」



「ええ、本気よ。…なぜか知らないけどアタシ、この刀使わないと行けない気がする。」



「…なら確かめてみろ、使えるかどうか。」


「ええ!」




そういうとシューナはユウジから受け取った2本の刀を鞘から出し、上空へと投げ、腕を両方突き出す。




「お嬢ちゃん!?正気か!?」




くるくると回転して落下していく2本の刀達、

それらはシューナの腕を斬ることは━━━

無かった。



「ほらね!アタシにしか使えないのよ、この刀たちは!!」



「たまにはやるな、シューナ。」



「へへん!もっとアタシを褒めなさいユウジ!」




「アンタら…イカれてるなぁ…」


「…代金はこれでいいか?」



「いや…カネは要らねえ、今日はそれ以上に面白いものが見れたからなあ!……あとアンタら【ユウジとシューナ】って言ってたよな?もしかして【あのユウジ】か?」



「…アンタも知ってたのかよ。」




「……ガッハッハッ!!こりゃ参った!【剣王】直々に私の店に来てくれるなんてねぇ!通りで他の客と雰囲気が違うわけだ!」




「アンタ…やっぱり有名なのね」


「…不本意だけどな。」




「そしたらお客さ…いや、剣王ユウジ。そちらのお嬢ちゃんは?」



「ああ、こいつはシューナ・アル…モゴモゴ」


「ええ商人さん!アタシはただの付き添い人です!!た・だ・の!!」



「おい!!なんで俺の口を塞ぐんだよ!?」


「うるさいわね!!さっさと次行くわよ!」





次なる場所【ギルドハウス】へと向かうユウジ達。…だが魔の手が彼らの行く手を阻むことになる。











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