第2話 双子姉妹剣士
~山道~
「で、これからどこいくのよ?」
「ん~そうだな…とりあえず知り合いのとこでも行くか。」
「……ところであんた【魔属性】は何よ?さっきは一回も使わなかったけど。」
「ん、俺?…秘密」
「なによそれ!私は…」「風だろ?」
「よ、よく分かったわね…さすが【剣王】といったところかしら?」
【魔属性】とはこの世界の人間が誰しもが持つ魔法の属性のことである。
この世界では主に魔法を駆使して戦うことが勝利へのカギとなる。
「……あのなあ、【剣王】って呼ぶの止めてくれないか?勝手に周りがそう呼んでるだけだからさ。」
「そう?私は誇らしいことだと思うけどね!…まあいいわ、あんたがそういうんなら……ゆ、…ユウジでいいかしら?」
「おう、それでいいんじゃないか?……着いたぞ。」
「何…この館…」
目を向けると、そこには「館」というには少し大きく「城」と言い表したほうが良いような建物があった。
ユウジが3m近い扉をノックすると、それを潜り抜けるように巨大な男が姿を現した。男は自身の身長の半分近いユウジに話しかける。
「これはこれは……ユウジお坊ちゃま、お久しぶりです。」
「3年ぶり…くらいか?久しぶりだな、【
「け、けけ、剣鬼ヴァサラって…一人で一国を滅ぼしたあの剣鬼!?」
「はっはっは!昔の話は止めてくだされ!…懐かしいですね、あの時ユウジお坊ちゃまがいなかったら私は本当の意味で【鬼】になってたかもしれませんね…」
「…昔は色々あったな、んで今日はこいつを鍛えにここにやってきた。」
ユウジが少女にクイッと指をさすと、少女は背筋をピン!とたて慌ててに話し始めた。
「は、はい!私は【シューナ・アルストロメリア】です!本日はよ、よろしくお願いいたします!」
「はっはっは!そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ!…でも今日は私ではなくて【この子達】にシューナさんの相手をしてもらおうかな。」
ヴァサラがそういった瞬間、扉の奥から双子…というのだろうか。顔はそっくりだが片方は黒髪、もう片方は白髪の小柄な二人の女の子たちがユウジのほうへ飛びだしていった。
「「ゆうじおにいちゃー-ん!!ひさしぶりー!!」」
「おお!ユナ!レナ!!久しぶりだなあ!」
「ちょっ、ちょっとまって!こんな小さな女の子たちを戦わせるの!?」
「はっはっは!シューナさん確かにこの子たちは10歳になったばかりですが実力は【ホンモノ】ですぞ!」
「10歳って…私の8つ下じゃない…」
ユナ「…ねえお兄ちゃんあの女だあれ?」
レナ「まさか私たちを捨てちゃったの…?」
「ち…違うんだ!こいつはただのツレで…」
ユナ「ふうーん…そうなんだズルいね…」
レナ「どーせ私たちなんか遊びにすぎなかったんだ」
「おい!誤解のある言い方するなあ!」
ユナ「ねえレナどうする?」
レナ「やっつけちゃって、お兄ちゃんを元にもどさないとね!」
「ちょ、ちょっと待って!ユナちゃん!レナちゃん!」
シューナの言葉を一切聞かず、切りかかってくる…が、間一髪ユナレナの攻撃をシューナは防いだ。
(この子達…強いっ!)
3人は一呼吸もできないような激しい剣戟を繰り広げる。
「ユウジお坊ちゃま、シューナさんはかなりの実力のようですね…というか【アルストロメリア】ってやっぱりあの…」
「……そうかもな」
10歳とは思えないほどのスピード、そして剣技。防戦一方のシューナは【アレ】を使うため構えに入る。
ユナ「へえー…お姉ちゃんも【魔法】つかえるんだあ…」
レナ「じゃあれなおねえちゃん、私たちも使っちゃう?」
(私の風の魔法なら…)
シューナは身に竜巻状の風をまとわせ姉妹のほうへ距離を詰める。
その瞬間、双子姉妹はどす黒いオーラをまとわせ、シューナへ一撃与えた。
(黒のオーラ!?…てことはまさか!)
ユナ「へへ…お姉ちゃん今【わかっちゃった】みたいだね…」
レナ「お姉ちゃん、魔法使えなくなったよね?私たちの【闇】の魔力すごいでしょ?」
(このままじゃ…まずい!)
双子姉妹たちは魔力を使い一気に攻め始める、魔法が使えないとなればその差は圧倒的だった。
数分の後にシューナは剣を弾かれ、とどめを刺されそうになったその時一
「そこまで!」
ユナ「えー-!!ユウジお兄ちゃんなんで止めちゃうのー!」
レナ「もっと戦いたかったのにー!」
「まあまあ、とにかくユナ、レナお前らの勝ちだ。」
「「やったあー!」」
ユナ「ねえねえおにいちゃん、ゆなつかれちゃったあー…お兄ちゃんと一緒にねたいなあー」
レナ「おにいちゃん…この後シちゃう…?」
「おい!そんな言葉どこで覚えたんだ!……ったく。」
*
数分後……
「………」
「どうだった?シューナ、あの二人は」
悔しかった。剣に関しては誰にも負けない、ましてや年端もいかない小さな女の子に負けるなんて。王都の大会でちょっと勝ってたくらいの自分がものすごく小さく見えるほどに、そう思うと瞼の先が自然と熱を帯び始めた。
「私じゃ……敵わなかった…魔法も…剣技も………
わだしっつ…!ホントにっ…づよくなれるのがなあ?」
「おいおい泣くなって……強くなるために旅を始めたんだろ?」
「う…うん!そうだよねっ!……そう思わなきゃ!」
「そーそ、そー思えばいいんだよ。…よし!そうと決まれば明日、【王都】に行くぞ!」
「う’’うん!!」
「ておい!鼻水俺の服で拭くな!」
次回、王都決戦編始まる!!
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