異世界で最強剣士だった俺はスローライフを送ろうとしたがよくわからん女が絡んできてめんどくさい

黒米

旅の始まり

第1話   スローライフ…


〜山奥の小さな家にて〜

 




  「さて、荷下ろしも終わったことだし…俺のスローライフ始めちゃいますか!」




俺の名前はユウジ、元々は普通の会社員だったんだが…ある日通り魔に刺され死んだ。

そんで色々あってこの世界に転生して…魔王倒して…と、色々あったんだがまあ今はゆっくり暮らそうとしているところだ。



「ここに照明置いて…と」「んでここはキッチンか。」



家具の整理をしているときに、ドアがバターン!!と、開く音がすると同時に






「ごめんくださー--い!!!ここに【剣王ユウジ】はいますか!?」






「あっ…えっお、俺だけど…」





やばい人と話すの久しぶりで声の出し方がわからん、しかも女の子じゃん…めちゃくちゃかわいい…あーやべ緊張してきた。

と、自分の感情を吹っ飛ばすかのように少女はまくしたてるように喋り始める。




「アンタが【剣王ユウジ】なのね!ちょうどいいわ!!私と結婚しなさい!!」




「あ、え、あええ……ってけっ…結婚んんんんんんん!!!」






  どうやら、夢のスローライフは難しそうだ。





          *

 




「んで俺がけっ結婚!?」


「そうよ!この私とね!!ありがたく思いなさい!!」


「嫌です。」


「なんでよお!」




結婚なんて嫌だ、俺はまだ20なったばっかりだぞ!しかもこんなわけのわからん女と!!結婚なんて!



「そ…そりゃあアンタにとってはいきなりだろうけど、そんな断らなくていいじゃない…私これでも身なりには気を使ってるし…そっ、その…胸だって他の子よりちょっとだけ自信あるし…」



その少女は涙を潤ませながらも言葉を繋げる。




「ぐすっ……もう分かったわよ。それならm」


「あー!分かった!分かったから泣くなぁ!

…んで、なんで俺と結婚したいの?」



「…それは、その……〈剣王ユウジ〉と結婚すればずっと剣の修行手伝ってもらえるかなーて思ってたりして…?」



「……それだけ?」


「それだけ」


「帰れ。」


「んなんでよぉ!!」




この流れ今日何回やるんだよ…と半ば呆れつつあったが、一応理由だけは聞いておこうか。




「…大体結婚しなくても、俺は頼まれればいつでも剣技は教えられるぞ?」


「そ、そうだけど!結婚しなくちゃだめなの!」



「なんだよそれ…まぁいいや、お前剣技自信あんの?」


「ええ!一応王都の大会では上位には入っているわ!」



「へえ…!それは凄いな!」


「ええ!でしょでしょ!!もっと私を褒めなさい!!」




「…で上位って具体的には何位くらいなんだ?」


「っ!…そ、それは…じゅ…」


「じゅ?」


「じゅう…ろくい位だったかしら?」


「何人中?」


「50人中」


「そ、そうか…」


「あーっ!!今絶対微妙だなって思ったでしょ!!」


「オモッテナイヨ」


「ウソ!!…まあいいわ!そこまで言うんなら【決闘】を申し出るわ!!」




「【決闘】か…懐かしい言葉だな。」




【決闘】とは、王都を主に伝わっている戦士同士がお互いの何かをかけて基本的には1対1の戦いをし、敗者は賭けたもの全てを失い、勝者はその全てを得ると言う戦いである。









〜森林にて〜



家から少し離れた木々が豊かに生い茂る場所にて、二人は決闘用の剣(木製)を手に握る。

そして先に少女が口を開く。




「私が勝ったら結婚、負けたらアンタの条件をのむ。これでいいわね?」



「ああ、それでいい。」



「…じゃあっ、行くわよ!」



瞬間、ユウジの前に突風が吹く。

━━━━━少女はユウジの背後に周り一閃…しようとしたが…



「やっぱりアンタ…結構やるわね。」


「まあな。」


「じゃあこれはどう!?」



その後に少女はユウジとの距離を一切離さず、1m程での剣戟を行っていた。

そして数分後…




「参った、俺の負けだ。」




「……はぁ!?まだアンタに一撃も与えてないのに!?」



「いや、当たらなくても分かった。…お前は確かに強い。」


「じゃ、じゃあ!けっこ…」「それはまだだ。」



「ええ!?なんでよ!」


「確かにお前は強いがまだ荒削りだな…特に…」


「ちょ…ちょっと!話が違うじゃない!」


「そこでだ」


「な…なによ」



訝しげにユウジをみる少女に対してユウジは言葉を繋げる。




「俺はお前と一緒にこの世界を旅する。

…そしてその旅の果てでお前が俺に勝てたら結婚する。

……これでいいか?」



「な、なによそれ!ズルすぎよ!

…けど」


「?」



少女は頬を赤く染めながらユウジに少しだけ自分の想いを伝える。






「アンタと一緒の旅なら面白くなりそうね!」






「…そしたら決まりだな。」





剣王と謎の少女の旅が今始まる!!








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