第6話 発覚、それは疑問

 鳥のさえずりが聞こえる。

 その声は、私を浅くなった眠りから

起こすのには十分なくらい気持ちがいい。

 こんな清々しい目覚めはいつぶりだろう。

 昨日あんな事があったからか、

久々にぐっすりと眠る事が出来た。

 さて、今日は何を

『ヤバいぞー! マズイことになったー!』

「…………チッ」

 この光景昨日も見た。

 別に好評でも無いし、むしろ超不評

だから再放送とかいらないんだけど。

『昨日の件について早速情報が

 出回っちまってるんだよ!』

「へぇ、それは大変……え?」

 なんでもう出回ってるの?

 確実に面倒事に巻き込まれるから

誰にも言ってなかったはずなんだけど?

「ま、待ってて! すぐ行くわ!」


「なんで昨日のことがもう流れてるの!?

 あんた誰にも言ってないでしょうね!」

「もちろん、そのことに関しては

 一切口外してないぞ。」

「なら、なんでその事が回ってるのよ。」

「知らねぇよ。

 ただ、今日もギルドに行って

 いざ一人ソロ向けダンジョンに

 行こうとしたら、偶然聞いただけだ。

 それでマズイと思って伝えに来た、

 って流れだ。」

「……分かった。とりあえず、ギルドに

 行きましょうか。

 それにしても、なんでこんなにも早く

 回ってしまうのかしら……」

「まあ当然っちゃ当然だよな。

 普通EランクのダンジョンにAランクの

 ダンジョンにいるような魔物が

 現れたんだぜ? それをギルドが知って

 なかった、なんて事は無いだろうし、

 何もしてないのにその魔物がいきなり

 倒されてたら何事かって

 ギルドも動くだろ。」

「それは……そうね。

 倒したのが私だ、って事がバレなければ

 どうってことはないのだけど。」

「そもそも、あれだけ強い力があるのに、

 どうしてルリカは回復役ヒーラー

 やってるんだ?」

「なにそれ、私に回復役ヒーラー

 向いてないって言いたいの?」

「そういう事じゃなくてだな……」

「……らよ。」

「なんて?」

回復役ヒーラーが一番平和だからよ!」

「…………はぁ。」

「な、なによその目! さては私のこと

 最低だなーとか思ってるんでしょ!

 あーはいはいそうですね私は

 チキンで前線で戦うなんて怖くて

 出来ないのに回復魔法が使えないくせに

 回復役ヒーラーをやってるダメ人間ですよ!」

「そこまで言ってないし思ってないよ……」

「フーッ! フーッ!」

「威嚇をするんじゃない! ステイ!

 おすわり!」

「誰がペットよ」

「やり始めたのお前だろうがよ……」

「まぁ本当はね、私も回復魔法も使えない

 のに回復役ヒーラーなんてやりたくないのよ。」

「……なんかスマン」

「別にイイノヨ? キニシテナイシ?」

「本当にスマン。」

 ある程度の付き合いの長さには

なったが、まだ言えない。

 本当の事は…………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

回復魔法を使えないダメ回復役は、攻撃役が天職だったようで。 雲乃 裾芽 @oiCSuSomen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ