第5話 混乱、それは実力
「おいおい......嘘だろ?」
あの光景を見たマギが、思わず
言葉をこぼす。
でも私もあまりの衝撃に、頭の中の色々が
全部外へと吹っ飛んでしまった。
ここはどこ?わたしはだれ?
ただ、一つだけ言えるのは、
「アッ、エッ......ヘ?」
......自分でもわけが分からないほど、
パニックになってるってことだけだ。
「あー、一回落ち着けや。よっ、と。
ほら、深呼吸だ深呼吸。」
「ハー、ハー、ハー、ハー。」
「息吐いてるだけじゃねぇか。
どんだけパニクってるんだよ。」
「ふぅ、落ち着いたわ......ありがと。」
「それで落ち着くのか!?」
「で、あんたの方は平気なの?」
「お、おう。
目の前で起きた出来事の衝撃さに、
疲労感なんかどっか行っちまったよ。
なーんてことはなくて、
正味言うとめっちゃキツいな。
こうして立って話してるだけで精一杯。
もう少しこのスキルの特訓、
しなきゃなぁ。」
「あんたは張り切りすぎなのよ。
もう少しこう、ねぇ?」
「こうってなんだこうって。
とりあえず、一回ここ出るぞ。」
「そうね、凄く疲れたわ。」
洞窟の外に出た時には、既に日が
傾きかけていた。
私の力で、Aランクの
そのことは怖くて誰にも言えない。
そして、マギにも言わせない。
「よし無事に帰れたな。
生きてるってことの幸せさを
痛感できた一日だった......
この後お疲れ会とか」
「するわけないでしょ。」
「デスヨネー」
「それじゃ、私は帰るわね。」
「おう、お疲れ。また今度な。」
「そろそろ他の
あと、今日のことは絶対に、
ゼッッッタイに漏らすんじゃないわよ。
どんな面倒臭い事に巻き込まれるか
分かったもんじゃないからね!」
「ういうい、分かってらい。じゃ。」
大丈夫かな......まぁ、この手の約束事に
関しては口が固い方だと思うし、平気か。
「ただいまー」
誰もいない我が家に帰宅の挨拶。
当然返答が帰ってくるはずがない。
そのまま靴を脱ぎ、ベッドに飛び込む。
ベッドはふかふかで、今日一日の疲れや
恐れを全て包み込んでくれそうな気がした。
「ああ生きた心地がしなかったぁ......」
どうして私ごときがAランクの魔物を
倒すことが出来たのか。
今はそれを考えるのはやめよう。
もう眠い。寝ようっと。
「おやすみ、おにぃちゃん......」
「......本当なのか?」
「ええ、確かにこの眼でしっかりと。」
「……嘘は吐いていませんね。
この方の言っていることは本当です。」
「それでも、まさか。
まさか
その冒険者について調べてくれ。」
「かしこまりました。」
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