第4話
道路完成から2年後、今度は教会の前に24時間営業のスーパーができるという話がもちあがった。今度はブラックの土地そのものが買収の対象となった。私は出店の話がもち上がる前、また変な夢を見た。祖父が出てきて、寝ている私の上に馬乗りになると、私の首を絞めるというものだった。私は夢であるとは気づかず、祖父に殺されると思い必死で彼の手を振り解こうとした。そうしてもがいている間に夢から覚めた。私は布団のなかにいた。また変な夢を見たことで、不吉な予感に襲われたが、自分が殺されそうになったのが現実でなく夢であったことに安堵した。しかし、その時私の意識はしっかりしていたが、体が動かないことに気づいた。金縛りにかかっていたのだった。周りの音は耳に入ってきていた。そして左の方から物音がしたから、なんとか首だけ動かしてそちらを見ると、首に十字架をかけた男の人が教会から出てきて立っていた。右手には御札のようなものを持ち、その手首には数珠がはめられていた。そして左手には杖をもっていた。そして自分が身に着けているものを脇に置くと胡坐をかいて座り、瞑想をはじめた。何事にも煩わされること無く穏やかに座っていた。すると私の金縛りが解け、私は体を動かすことができるようになった。私は彼の神々しさに圧倒されると、正座をしてひれ伏した。そしてふと気がつき目を開けると、私は布団の中にいた。周りはいつもの私の部屋だった。さっき見た光景は夢だったのであろう。しかし夢というには、あまりにはっきりしていた。私はその不思議な体験をしたことに驚いたが、またすぐにその夢の意味を考え始めたのだった。また私が失敗をしたと思い冷や汗がでてきた。しかし今度も何も思いあたる節がなかった。私は自分だけでは答えが思いつかなかったので、妻に相談した。すると妻も教会に関わる夢を見ていて、池に棲む生物たちが騒音や人工的な光りで苦しめられ弱っていく夢を見たと言った。またその教会に前にある池には何匹もの蛙が棲んでいて、目を吊り上げて夫である私を睨んでいる光景も見たといった。妻が言うには、まるでその様子は自分たちの棲みかを踏みにじられ、蛙が怒っているようだったそうだ。妻は何か不吉なことが起きるに違いないと言った。私は教会から誰か出てこられなかったか尋ねた。妻は気づかなかったといった。
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