第2話
そのとき私は道路建設とゴミを結びつけたが、もしかするとそれから後に起こる教会周辺の問題を暗示していたのかもしれない。しかし近視眼的な思考をする私は、神社とゴミを結びつけたのである。
最初道路が造られると聞いたとき、これで日曜の掃除に行きやすくなるという風に楽観的なことをよく考えていた。教会は林に囲まれたところにあったので、道路ができる以前そこに辿り着くまでには少しばかり苦労していた。またそれまではほとんど私の親族しかそこに教会があることを知らなかったから、周辺が切り開かれることで沢山の人にその教会を知ってもらえると思っていた。だから道路建設の住民説明会に出席して、すぐに建設同意書にサインをして帰ってきた。妻はもう少しごねると土地を高く買い取ってもらえたかもしれないと帰り道で言った。
もちろん仮に反対したところで、公共の福祉の名の元に強行に道路建設が遂行されたことであろう。だとするならば、教会が世に姿を現すことで今回のブラックが殺害されるという事件が起きたのだが、それもまた必然的に避けられない摩擦だったのであろう。そしてこの摩擦が何故に起こってしまったのかを考えるために出来るだけ私が知っていることを、しっかりとここに書こうと思う。もちろん私も当事者であるから、主観的になりすぎて物事がいいように書かれるかも知れないが、起こったことを記録するために語っていることを忘れないでここに書こうと思う。
住民説明会の次の日の朝方に見た夢がその気持ち悪い夢であった。不吉な予感がして、私はその夢の意味を理解せねばと思い、あわてて色んなことを考えたのだった。祖父が夢に出てきたから教会の件であろうことには気づいたがそれ以上はわからなかった。また強欲なブラックもその説明会に来ていて、彼の土地が道路建設にほとんど係らなかったから、何度も異議を唱えていた。結果として私の土地とブラックの土地は接していたのだが、この工事によって道路を境に別々に区分けされたのだった。そして道路が完成してしまうと、当初の予測より多くの車両がその道路に流れ込んできていた。
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