蛙が出てくる話
二重一意
第1話
アーの話
蛙のキーンが人間の体を借りて、強欲の化身だったブラックを殺したその頃、私は池の教会の前に24時間営業のスーパーができるという問題で反対運動をしていた。神聖な場所の前に24時間灯りをつけた店が建つことなど私には到底許せることではなかったからだ。
池の教会周辺の土地は私の家系が先祖代々所有して管理していた。しかし最近は開発の波にさらされ、その周辺の地域はどんどん切り開かれていた。教会の前に二車線の道路ができたときも、私は反対をしなかった。事前に予測することの苦手な私は、道路ができるということのデメリットを考えもしなかった。
毎週日曜日の朝から教会の掃除をするのだが、道路が通ってしまうと、それまでなかったような空き缶や菓子の袋が多くなった。敷地の中にごみが落ちているという光景を見たとき急に心がかき乱される感じがした。それは私が犯した失敗を痛感させられた出来事となった。教会の前にゴミを捨てるという行為に大変落胆した。このとき時初めて以前にみた夢のお告げの意味を悟った。
その夢とは死んだ祖父カーンが出てきて、私を見るとすぐに背をむけてしまい、こちらが何度呼んでも全く振り向いてくれないというものである。私はこの夢が気持ち悪くて、鮮明に憶えていた。私にとって祖父は恐怖そのものである。それは彼がもはや死んでいようと変わりないことである。いつも彼が何処からか私を見ているような感覚がある。だから、その様な夢をみると何か私が祖父の意思に反することをしてしまったと思い、それが何であるかずっと気になっていた。しかし少しも、その夢と道路建設が教会の敷地内にあるゴミを見るまでは上手く結びつかなかった。それから私は水曜日も掃除をするようにした。
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