第三話

 戦勝会にして同窓会は約束通り学校の食堂で行われた。


 ――出来れば同窓会をやりたいな……。まあ、食堂でだが


 ヴァースキの希望はかなったのだ。だがヴァースキはこの席には居ない。


 「ザックはいいよなー、この学園でお留守番で」


 「ああ、いいぜ。なんせこの学校で釣り堀三昧だからな」


 ザックは心を痛めたが自分の秘密は墓まで持っていくつもりだった。


 「ちょっとトイレ」


 ザックが抜けて行った先は地下墓所。もちろん転移魔法で行った。そこには聖女様が待って居た。


 「もう、この鎧も鎌も要りません」


 「そうですか、ではこの墓所の奥に隠します」


 そういうと呪文を唱えると小部屋が現れた。


 そこに宝箱を戻す。死神の鎌もだ。


 「もう、この世界に脅威はありません。存分に戦勝会を楽しんできなさい。貴方は人間ザックに戻ったのです。もし、心の傷があるのなら私は率先して貴方の心を癒しましょう」


 「聖女様!」


 ザックは聖女に抱き着いた。


 「いいのです……これは私の罪。罪はともに償いましょう」


 「ありがとう……」


 ザックは泣き崩れる。


 貴方たちにご褒美を上げます。


 「それはいったい?」


 「見てのお楽しみ」


 ザックが食堂に戻ると戦勝会の出席者が次々に夜空を指さす。


 「あれ何?」


 「すごい!!」


 「光の雨だ」


 「あれは鳥……いや、竜だ!!」


 それは巨大な緑色の羽をもった竜が学園を旋回していた。


 畏しくもあり、同時にやさしさを感じた。


 「これからこの世界は竜のご加護がある!」


 「「おお~っ!」」


 竜はどこかに消えた。まるで流れ星のように。


◆◇◆◇


 二度目の入学式だった。メンバーのほとんどがもう一回入学式の席に座っている。


 これから二年間修士課程を経て修士論文を書いて修了するのだ。


 「なんか俺たち日常に戻ったんだな」


 しかし前の日常と違う点が1つあった。双鷲級の旗ではなくザハ共和国の旗になっていたのだ。


 クレア、イザベラ、ギルバートの3名は学生からいろんな意味でやり直しだ。


 「この魔導文明を身に着けて母国に持って帰ります」


 もうクレアの言葉も流暢になっていった。


 ――始まるんだね、新しい生活が

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