第一話

 ロロ大帝国の首都に到達した。同盟国の北方王国軍も一緒だ。侍の万次郎も一緒だ。


 「なにこれ……」


 リヒャルトが指をさす。


 王城の門のそばにいる死神戦士が異様だった。


 「あれが、諸部族を解放した死神戦士か?」


 死神戦士が面頬を取るとそれは女帝だった。


 「今よ!! 家に、建物に火を放ちなさい!!」


 命令に従い軍が火を放つ。再び面頬をつける女帝。


 なんと家にはまだ庶民が居るではないか。阿鼻叫喚が聞こえる。


 「なんて奴なの……」


 ――『悪』になるな。『悪役』になれ


 エスリーンはヴァースキの言葉を思い出す。


 「アドルフ、ルイズ!!私と一緒に来て!!奴を討つのよ!!」


 「もちろんだ!!」


 「ほかの人、特に天馬部隊はここの住民を避難させて! 氷魔法・水魔法使える人は極力使うのよ!!」


 「もちろん」


 「ユーレクは建物を破壊して住民を避難させるのよ!!」


 「がってん!」


 「馬鹿め!!」


 なんと鎌を振るうと次々友軍の首を飛ばすじゃないか!!


 「何て奴。まるで彼女一人で大軍勢に匹敵するわ」


 アイザックが闇の炎に倒れる!!


 「アイザック!!」


 「私を忘れては困りますな」


 ラスプーチンだ!!


 アイザックを運ぶ。手負いだ。もうアイザックは戦えない。急いで回復魔法をかける。


 まるで勝負にならない。


 「なんて奴らなの!!」


 プスコフ主教も闇の炎を次々炸裂させる。なんと自国民をも犠牲にするではないか。


 ハンナもプスコフ主教の闇の炎に倒れる。


 死神の鎌を振るうたびに業火の炎や大雷が襲う。


 (ダメなのか……この国は首都まで制圧出来ないのか……)


 その時、漆黒の鎌を振るう者が現れた。


 プスコフ主教やラスプーチンの軍勢を撃破する。


 「瓜二つよ……」


 リーエが怯える。


 「勘違いするな!! 俺はお前たちの援軍としてきたんじゃない。死すべき人間に死の制裁を下しに来ただけだ!!」


 (ザックだ!)


 エリックは救世主に見えた。エリックだけが知っている彼の正体……。


 「みんなあの死神は敵じゃない。エスリーン、あの死神戦士の後ろに行くんだ!!」


 エリックの指示に従いみな死神戦士の後ろに下がった。


 「物わかりのいい奴らだ。お前らはここの住民の避難に全力でやれ」


 漆黒の死神が嬉しそうにのどを鳴らす。


 漆黒と闇がぶつかる!!


 「こしゃくなあ!」


 ラスプーチンが次々闇の雷を放つ。しかしすべてよけられてしまう。


 「邪魔だ」


 その言葉の後にしばらく沈黙が流れた。


 「何が起きたんだ? 何も起きてねえじゃねえか」


 しかしラスプーチンの額から縦一文字に血が流れる。その血がどんどん流れていく……。


 「ぐぎゃああああぁ!」


 やがて、ラスプーチンの体が二つに割れた。


 ラスプーチンの軍勢が崩壊する。


 「宮廷の中に入れ!!」


 死神が指示を出す。


 「もう一人いたよな。聖職者のくせに死神に魂を売った奴が」


 プスコフ主教が逃げ出す。


 死神は死馬を呼び出しプスコフ主教を追いかけた。軍勢は大混乱。脱走の嵐だった。


 「捉えたり!!」


 鎌を振るうとプスコフ主教の首が飛んだ。馘を上げる死神。


 「いいか、宮廷に行くぞ。死地に行きたい奴だけ来い!!」

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