第四話

 炎をかいくぐるエスリーン。なんと黒いフードを被り面頬をつけて顔を少年兵までいるではないか。きっと暗殺部隊に違いない。それにしても少年兵とは……。


 周りの軍勢が闇の炎で死んでいく。そしてなんと酋長の家にも!!


 フーゴがバリアを張って凌ぐ。


 「裏切り者の部族は殺せ!!」


 (なんて国なの!)


 エスリーンは帝国の態度に驚愕した。


 「じゃ、盟主殿。あとはお楽しみを」


 そういうと魔法陣に消えていく! 謎の少年兵も次々魔法陣に消えていく!


 よく見ると樹から熱線が来る!! 樹に魔石が埋め込まれているのだ! もうここに居たら危ない!!


 エスリーンは慌ててよけようとする。


 「だめよ、全員逃げるのよ!!」


 オリヴィアが悲鳴を上げる。


 エリックが爆発魔法で倒すもさすが近衛兵だ。


 だが、攻撃を終えると彼らは去っていく。熱線もここまで来ると届かない。


 「ねえ、酋長たちを一旦別の場所で再建させないと」


 「すまぬ。彼らはああやって我らを監視する」


 フーゴがここに残って再建することになった。

 

 エスリーンの東征から約一か月。とうとう果ての海に到達した。


 (この向こうに日本が)


 ロロ大帝国はこの辺を拠点にして脅してたのか。私たちは友好的に接さないと……。


◆◇◆◇


 例のごとく日本の対応は酷かった。長崎に行けとか。さんざんである。出島に行ってあとは検討するというだけのだろう。


 エスリーンの軍隊は北洋から魔導砲を持った船で脅すこととなった。


 そう「黒船」が歴史よりも早くやって来るということにしたのである。もっとも蒸気船ではなく発電機を積んだ電動船である。だから荒波でも乗り越えられる。船の色は歴史の通り黒にした。


 (やっぱり日本って外圧でしか変われないんだわ)


 この日の本の国を開国するのには訳がある。これ以上ロロ帝国の侵略に耐えられるとは思えないからである。このままでは北海道を取られてしまう。


 本来の歴史と違うのは不平等条約は結ばないという点にある。また漂流者を殺すなど言語道断であった。まあ、こんだけ脅して悪いことしておけば日本人は強者に対しては卑屈になるということがよーくわかった。江戸湾内での通商権をゲットというのが最高だ。寒村だが……。神奈川と聞いて私はてっきり神奈川県かと思った。そうか、神奈川という漁村があったのか。しかしこれでは大きい船が停泊できない。しょうがないので港を作っていただくことにした。まさかこれが横浜だったとは。


 (『マジックラブ』に東洋文明の国が追加される!!)


 この後日本は幕末となって維新となり急速に近代化していく。通商以外何もかかわらないようにしておこう。もちろん日本への贈り物は発電所を始め電熱器や冷蔵庫、そして何より電車を譲渡した。蒸気機関車よりも先の文明の利器を一気に手に入れたのである。もっともエスリーンが渡したのは遊園地用の電車だが。日本人ってこんなにはしゃぐっけ? この侍たちはまるで幼稚園児だ。


 そしてエスリーンの魔導文明を学ぶべく一人留学生を連れてくる。


 万次郎という名前なんだそうな。


 (こいつ、苗字もねえのか。まあいいや。ここ「バグ」面だし)


 『マジックラブ』というゲームは西洋文化がモチーフの魔法学園が舞台のゲームである。とうとう「西洋」という根本すら崩れた瞬間であった。


 そして、いよいよ連盟はロロ大帝国との決戦に挑むことになる。


 (ゲームクリアが迫って来る!!)


<第六章 終>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る