第四話
「ザクル領に有益な商品をお持ちしました」
国境沿いの線路で荷物チェックと関税業務が入る。
「ほお、ドライヤーに温熱機」
「そうです。竈での炊事業務から解放されて女性の睡眠時間は一時間も伸びたと言われています」
「よし、通れ」
なんなく敵国の国境に入った郵便貨車。ザルだなと連盟軍も王国軍も冷笑する。
そしてザクル領の首都に近づいてきた。
「行くぞ!! 進撃!!」
扉をガラッと開けるとエスリーンは魔導砲を命中させる。
荷物車に居た軍隊が一斉に進撃する。
「進撃が開始されたわ」
無線で伝えると反対側の国境に居た北方王国軍も進撃を開始する。
勝負はあっという間に付いた。ザクルピピンは虜囚の身となってエスリーンの前に連れてこられる。
「お久しぶりね」
「……」
「婚約破棄しなければこんなことにならなかったのに」
「クソ女が!!」
「言葉を慎むんだべ」
鞭でたたかれるピピン。
「条約通りザクル領は北方王国のものとなります」
(さて、どうしようどのみち外国に領土を渡した以上ザクルは反逆罪では問うのは難しいわ)
ザクル=ピピンとその一家は荷物車に入れられ、警護されることとなった。もちろん魔導学園に電車は引き返す。
◆◇◆◇
ザクル領に居た農奴は農奴の地位・身分から解放され自由民となった。
エスリーンは北方王国にザクル領の譲渡に関する条約をサインする。アドルフ2世もこれにサインした。
ザクル=ピピンは北方王国に移送され農奴虐待の容疑で逮捕、起訴された。さらにロロ帝国に国家機密情報を渡した罪にも問われた。判決は死刑であった。
王宮広場前でザクル=ピピンは連れてこられる。もちろん断頭台が用意されていた。
「言い残すことはないか?」
執行人が問う。
「ロロ大帝国万歳!」
何という男だろう。完全に売国奴である。
ザクル=ピピンは北方王国の民衆が歓声を上げながら断頭台の露と消えた。
本来エスリーンが食らうはずの破滅フラグはザクル=ピピンに跳ね返すことに成功した。
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