第二話
北方王国では国葬が行われていた。
嘆き悲しむ国民。
そしてそんな異例の状態で摂政も置かずに九歳のアドルフがアドルフ2世として即位することになる。
なお母アドルフ=マリアは心の病に倒れており、塔に幽閉されている。アドルフがなぜ国内の学校ではなく隣国の魔導学院にわざわざ行ったのか。それは魔導技術の習得のためではない。親から逃げるためでもあったのだ。
そしてアドルフ2世は連盟のザクル領を攻める事を宣言。ロロ帝国軍とぶつかることとなった。領土獲得まであと一歩という時になんとラスプーチンが遠方から放たれた魔導矢がアドルフ2世の馬に命中。アドルフ2世が落馬したのだ。これがきっかけでなんとアドルフ2世は片眼の視力をほとんど失うことになる。
――失意の撤退
こうしてザクルは確実にロロ帝国のものになった。ザクルにあった魔導技術をわが物とし、エリザベート1世はいよいよ北方王国や連盟諸国に進撃するのだ……。
「エスリーン!! お前を捉え、八つ裂きにしてくれる!!」
高笑いをするピピン。
ピピンは震えていた。怒りに震えているのではない。歓喜のあまりに震えていたのだ。
◆◇◆◇
サーガラ諸侯連盟の盟主、ヴァースキはエスリーンらの居場所を突き止めた。
「やっぱ、ここか」
遊園地に四人は居た。
「ここじゃなんだ。ちょうどいい。近所の学校で詳細の話をする。これは国の命運をかける話だ」
着いた先は学校だった。さんざんもがいて振出しに戻ったのだ。
「エスリーン。何で強国に狙われてるのか分かってるよな? はっきり言う。お前のせいだ」
「……」
「だが、お前のおかげで世界の大多数の人は救われたのも事実だ。ならばその魔導で、王道を行け」
「聖女様……」
聖女がやってきた。
「なんとなく、こんなことになる事……想像ついてました」
「聖女様、我ヴァースキはここを臨時で本拠にすることをご提案します。魔導の力で逆襲します。また青獅子らの子も正しい道に導いてください」
「もちろんです」
「四人に命じる。ここを本拠に魔導研究所『銀狼』の研究員を命じる」
「ええ!?」
「元に戻るって事?」
「ああ、そうだぜ」
「ここを本拠する意味はもうひとつある」
口笛を吹くとなんと巨大な竜が降りてきた。
「俺の相棒ズマウだ。竜って見かけによらずデリケートなんだ。厩で世話してほしい。こんなデカイ竜は俺の厩かここしか置けないからな。議事堂に通う時は使えないんだ」
「みなさん、今度は『銀狼』は戦争に勝つための秘密研究です。四人は今日からこの学校の研究員になります」
「それとあいつらにも来て同窓会やりてえからな。だから同盟の依頼を書くぜ」
北方帝国と、同盟を結ぶのか。
「エスリーン。それと先に言うが俺が倒れたら次の盟主は君だ」
「この話、断れないんですよね」
「当たり前だ。国家の命令だぞ」
「いいぜ!? 諸侯連盟ってのは自由人と遊牧民族が集いし国だ! 自由と誇りを見せようじゃないか!」
ザックが吠えた。
「いいぜ!? 兄弟!!」
エリックも吠えるように答えた。
「分かりました。天命、承ります」
「堅苦しい礼儀は無しだぜ、兄弟!!」
「まともに研究できる場所があるだけでもありがいたいわ」
「マリアンヌ、お前も兄弟として戦ってくれよな?」
「もちろんです」
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