第三話
東部の諸侯が次々とロロ帝国に吸収されていく。ロロ大正教なる宗教も出来た。
そして自分たちの宗教こそ、邪教の一派なのだと……。
魔導弾を次々撃ち込まれる。修道院も学園も破壊され始めた。
そのような状況でエスリーンは地下で何かを作っていた。
「完成した」
それは転生する前の知識では最後となるものである。
高周波コイル。これで何が出来るのか。魔法石を使わなくても音声のやり取りができる。トランシーバーである。軍事行動に欠かせない。魔法が使えない兵隊でも遠くのものとやり取りできる。もちろん「おもちゃ」レベルのトランシーバーでよく男の子が小学校の自由研究でよく作るもののレベルである。よく考えてみたら我ながら発明品は小学校の自由研究そのものだった。鉄工所やその前身の鍛冶屋の協力が無ければもっとそうなる。
(私は、もうこれ以上新しいものは作れない)
すでに「魔導」は科学という文言に置き換わりつつあった。もうエスリーンよりも研究も発明も出来るものがあちこちに現れたのである。
◆◇◆◇
「返事は来ない」
ヴァースキの言葉に残念そうになるメンバー。アイザック、ユーレク、トマシュ、リヒャルト、リーエ、カーラが戻ってきた。みんなエスリーンの魔導を身に着けた者たちだ。
「我々でどうにかせねばならない」
「グルガル河を超えられたら、ここは制圧されます!」
トマシュが警告する。
「仕方ねえだろ。連盟だけでどうにかするんだよ」
(あれ、この話聞いたことがある。これって「ポーランド分割」にそっくりじゃね?そうだよ!! この国自体に破滅フラグが設定されてるんだわ!!)
この乙女ゲーム『マジックラブ』は単に現実の地理を模倣してるだけではない。現実の歴史をも参考にしてるのだ。つまりエスリーン個人に設定された破滅フラグは消えてないし国自体に設定された破滅フラグも設定されたままで消えてないのだ!!
「グルガル河大橋を壊して魔導で返り討ちするんだ!!」
ヴァースキの指示に従って竜を始め天馬で移動する金鉾級メンバーと銀狼級メンバー。
しかし学園在学時代から本物の魔術を徹底的に鍛えたロロ大帝国軍は違った。
橋を落とそうが魔導弾が余裕で届く。
そして……。
「ヴァースキ―!!」
同級生の悲鳴とともに空中から落下する竜。
巨大な魔導弾がエスリーンに向かってくる。
画面は真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます