第十一話

 「これがザクル=ピピン家の密書です」


 ピピンがゾフィーに手渡す。


 「本気ね?」


 「本気です」


 「すばらしいわ」


 「あのエスリーンになんとしても一泡吹かせます」


 「貴方の領土を超えたら一気に北方王国。ここを制すればロロ大公国は一気に大帝国になるわ」


 「ザクル領はもともとロロ人が多く住む場所。ロロ大公国領の方がふさわしいのです」


 「では、私の即位式も見てくれるかしら?」


 「勿論です」


 「では即位式の準備をしましょう。学生ごっこもここまでです」


 そばにはラスプーチンまで居た。


 「形の上ではここを放校処分されると貴族の身分剥奪だわ。それは異国の王室や皇室でも一緒。計画は慎重に行う必要があるわ」


 「学籍は形の上では三月三一日まである」


 「となると四月一日以降ですな」


 「西方教会諸国はどう?」


 「それはもう大混乱です。ある国は離婚が出来る宗派として独立。近いうちに北方王国も西方教会から独立するでしょう。かの国は正義と公平を重んじますゆえに」


 「とすると万が一戦死となったら北方王国はたやすくとれる。なにせ後継ぎはたった八歳、いやもうすぐ九歳にしかならない王子なのですから」


 「ではもう国境沿いに軍隊を集めなさい」


 「はっ、では陛下にさっそく」


 「西方王国に武器も供与するのです。挟み撃ちよ」


◆◇◆◇


 「父が戦場に出る!!」


 アドルフが手紙を見て驚愕した。


 「殿下、これはまずいです」


 「卒業まで実質後一か月ちょっとだな」

 

 「はい」


 「父のことだよっぽどのことが無い限り大丈夫だろうが万が一のことがあったら僕が即位することになる」


 「大丈夫です。アドルフ一世様は必ず勝ちます」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る