第四話

 遊園地が出来た。もはや学園の敷地も製鉄工場も大きいので一駅先の場所に事実上移転となり、経営母体も分離された。遊園地に行くには鉄道で行かねばならない。


 駅にはかなりの人がいる。電車は10分間隔で運行されてるようだ。


 鉄道が来た。どっかで見たようなクラシックな車両だ。


 鉄道の光景も変わった。まだ2両編成だけど。


 うなるモーターの音。正直スピードは速くない。


 「次は、遊園地前、遊園地前」


 学園前の製鉄所も空気が悪くなる原因だし手狭になったので移転する。もっと港の方に移転するのだ。なのでもう製鉄所、元は鍛冶屋だがもう稼働していない。


 日本の鉄道と違うのは圧倒的に貨物が多いことである。すれ違う電車は基本貨物である。


 「まもなく、遊園地前、遊園地前。お出口は左側です」


 (まだ車掌はラッパのような器具に大声で言ってる。音響機器も発明しないとなぁ)


 「ここが遊園地かー」


 遊園地は駅と直結。ゆえに多数の者が降りて行った。


 「さ、マリアンヌ。着いたよ」


 入場料は日本円で200円と言ったとこか。切符を買って切ってもらう。中に入ると……。


 「あの時の公園とは全然違いますね」


 まだ観覧車とコーヒーカップとサーカス団が来るだけの遊園地らしい。開園サービスということでサーカス団目当ての者がほとんどだ。まあ、エスリーンが発明したエレベーターのお披露目もあるのだが。


 二人はバニラアイスを頼む。入園料とあまり変わらない値段だ。エスリーンが発明した冷蔵庫技術はバニラアイスという当たり前のものを生み出した。


 「うわっ、エスリーンおいしっ!」


 「本当だね」


 (これこそデートイベントだよ! 遊園地だよ!!)


 「エスリーン様、ようこそ!!」


 ここが特別展示エリアとなるエレベーターエリア。ガラス張りの箱に各階に最大六人乗りで移動できる。五階まで。操作はエレベーターガールが行う。もちろんエレベーターはエスリーンが発明した。安全装置付きだ。


 「上へ参ります」


 (本当に日本にいたときのデパートのエレベーターガールと同じだ!!)


 「五階、展望室です」


 五階に上がったのち、各階に降りて最後は一階に降りる。人間を運ぶというよりは荷物用として支持されてるのだそうな。


 最後に観覧車に乗って終わる。まあ、200円だからこんなもんか。遠くから学園が一望できる。木々が色づいていた。ここの秋は早い。北国なのだ。


 「きれいだねえ」


 そう言うとマリアンヌは頬をつんと指で押す。


 「何言ってるの。エスリーンが作った光景みたいなもんでしょ」


 「そうだった」


 (ふーん。これだったら公園というよりも博覧会としても機能出来るかも。今度はエスカレーターやベルトコンベアや動く歩道も披露してみるか)


 「あ、また何か考えてる」


 「マリアンヌって本当心読むのが得意ね」


 「そりゃそうよ。動物と会話できるくらいだもん」


 「今度は観覧車に乗ろう!」


 「ええ」


 観覧車からの眺めは綺麗だった。遠くに学園が見える。


 「あと、数か月で私たち、お別れね」


 「そっか……卒業式だもんね」


 「卒業したら、貴族運営に戻るの?」


 「そう。学校運営もするわ」


 「ありがとうございましたー」


 係員がゴンドラを開ける。ゴンドラは小さい。あっという間に一周して終わった。


 (そっか、学生生活はもう終盤なのか)

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