第三章 私、進路どうしよう
~序~
後期の始業式が始まった。
「皆様もご覧になったでしょう」
聖女が指をさす。
「この向こうにある建物群は初等教育・中等教育の指導者のための校舎。このため来季の学生数は一気に激増します。そのため寮も学食も増設します。皆様も領地経営だけでなく学校経営の出来る貴族に育ってほしいものです」
その言葉を聞いてどよめきが出た。
「農奴はもうこの国からいなくなりました。普通選挙も実施します。城下町をご覧なさい。鍛冶屋だったものは製鉄所に。駅の周りに商店街が構成されています。近々病院も作り医師も薬剤師も養成します」
この言葉に動揺と拍手が同時に飛び出した。
「あなた方は高等教育の課程を出ることになります。まだ旧課程の教育ですが高等教育を出たものとして恥じぬよう心がけるのです。もう家庭教師の時代は終わった。貴族であろうと教育の仕上げは学校なのです。つまりあなた方は落ちこぼれなどではない!」
拍手喝采となった。
「きつい話ばかりじゃありません。実は駐兵場を改造し……遊園地にすることにしました」
二度目のどよめきだ。
「魔導は生産だけに寄与する者じゃないということも知ってください」
「あなた方は新時代を築く指導者です。どうか道を外れぬよう」
後期の校長先生のお言葉はいつにもなく重いものとなった。
中には意に返さない者も居るが……。
「よう、エスリーン。校長先生の話はいつも長いな」
ザックだった。
(ザックはまだ実感ないのかしら)
「世界が変わるね」
エリックはちゃんと理解していた。
そう、ほとんどの生徒はこの世界の秩序が変わることにおびえていた。後期は皆とまでは言わないがほとんどの生徒が不安だったのだ。
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