第二章 私、先生になるの!?
~序~
「初めまして。今日からあなたたちを指導するエスリーンです」
教壇に立つエスリーン。これだけでも地獄だ。ヒキコモリ令嬢にとってこれは地獄だ。
「やあ、先生。よろしくな」
級長のヴァースキ。そしてこの国の連盟の盟主。つまり実質の王なのだ。初じめましてじゃないくせに。
「初めまして。私はアイザック」
(見るからにキザ貴族だ!! いるよな、こういう奴が乙女ゲームに!!)
「おう、俺はユーレク。よろしくだべ」
そう、この辺の地域は田舎なのだ。
「私はトマシュ。よろしく」
「この子平民なんだ。苦労人だよ。盗みを働いて捕まった。極貧のため俺が代弁したんだ。それで彼は恩を返したいと言って以後勉学に励んでここまで来た」
(すごい!)
「僕はリヒャルト。よろしく」
(いかにも魔術に強そうな子ね)
「君の魔導に興味があってここまで来た」
「私はリーエ。よろしく。先に言うけど子ども扱いしないで」
「彼女は六歳で病気で両親を失ってる。以来一人で領土を運営してきた」
(ええ!? 盟主様……本当かよ?)
「まさかと思うけど、可哀想とか思ってないでしょうね?」
「いいえ!」
「ならいいけど」
「私はカーラ。よろしく。天馬使いです」
「このクラス唯一の飛行部隊でもある。空から魔法の矢を飛ばすこともできる。先生も学んでみるかい?」
「えっ!? 結構です」
(そんなの『マジックラブ』にないよ!!)
『マジックラブ』とは本来占いの館で相手の好感度を上げる、そして魔導学園で魔法を学ぶという二重の意味で『マジックラブ』という名前がついてる。しかし、もはやゲームの基本が完全に壊れてる!!
ふっと壁に掛けてある地図を見る。するとなんとほぼほぼ東ヨーロッパの地図ではないか!!もちろん黒海とウラル海は繋がってないから厳密には空想の地図なのだが。『マジックラブ』の地図と少し異なる。
「おっ、地図か。俺はな。このウラドの壁の向こう側からやってきた遊牧民族なんだ」
(そのウラドの壁というのは恐らくウラル山脈の事だ!)
「じゃー、先生。授業始めてくれないかな。早速『モーター』の事を」
「ええ、そうね、始めるわ!」
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