第二話
二日後、四人は牢から出された。行きついた先は聖女様の謁見室だ。
四人の前で聖女はこういった。
「貴方たち、本当に凄いわね」
聖女は半分呆れていた。
「君たちは魔導学の神髄に触れた」
副校長でもあるクラウドが言う。
「私はこのザルワーン教の教義の教えを壊したくないの」
(異端審問で殺される!)
エスリーンはびくっとなった。
「でもこの魔導の力で人を幸せに出来るのも事実です」
聖女は諭すように四人に言った。
「そこで私たちは考えた。今から秘密夜間学級『
副校長の提案が全く理解できなかった。
「えっ!?」
エスリーンはまったく声が聞こえてこなかった。
「マジ?」
ザックは真顔で聞き返した。
「本当ですか?」
マリアンヌはちょっと不安そうだ。
「助かるの?」
エリックは助かることを第一に考えていた。唯一冷静なのはエリックだけであった。
「もちろんだ。研究助成費も出すぞ」
副校長でもあるクラウドの言葉がありがたい。
「ただし!」
聖女が喝を入れた。
「今のところは秘密学級にしてほしいの。魔導学の奥義を公開する時は私の判断にして」
「夜間授業も地下墳墓で行なうとする。研究成果も我々のものだ」
(ですよね~!?)
エスリーンはややがっかりした。
「当たり前だが昼間の授業もさぼるなよ? 特にいつも昼寝してるやつ、聞いてるか?」
エリックは顔がうつむいた。
「で、今日の授業は何だ?」
二人は乗り出すように聞く。
「ゴムです。絶縁体の話」
エスリーンは研究の話になると途端に元気になる。
「ゴム!?」
ザックは落胆した。
「がっかりだわ……」
マリアンヌもがっかりの極致であった。
「ちょっと待ってください!! この研究は重要です。感電死したいんですか?」
エスリーンは慌てて二人をなだめた。
「もっともです。先生」
聖女もエスリーンの意見に同意した。
「ゴムなんてどっから持ってくるんだ?」
ザックが率直な疑問を投げた。
「南方の天然ゴム園でしょうに」
エリックが呆れる。
「遠すぎるわ!」
マリアンヌがもっともな発言をする。
「それまでは陶器で絶縁体を作るんです」
そう、陶器も絶縁体である。
「ほお?」
副校長は興味津々だ。
「今までは弱電と言われたものですがこれからは強電というものを作るんです。甘く見ないでください」
エスリーンは念を押した。
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