設定資料抜粋
〇大陸西部の大まかな歴史
・百年前まで:統一国家が存在。
・百年前:統一国家が崩壊し、各地の諸侯が勢力争いをくり広げる混沌の時代に。
・八十年前~七十年前:各地の勢力が徐々にまとまり、数万~十数万の人口を持つ二十二の国が誕生したところで乱世は落ち着きを見せる(ハーゼンヴェリア王国は七十六年前に誕生し、現在は王国暦七十七年)。
※大陸西部の総人口は推定130万人~135万人ほど(国民に含まれない傭兵や、地域外の商人、旅行者などを含めると140万人を超える)
※ガレド大帝国の総人口は1000万人ほど(ただし、人口は帝国西側より東側の方が多い)
〇ハーゼンヴェリア王国の概要
・人口:およそ5万人(国民ではない傭兵や在留外国人を除く)
・国土:最も長いところで南北におよそ70km、東西におよそ150km
〇ハーゼンヴェリア王国の貴族
・法衣貴族
侯爵家1、伯爵家2(宰相、将軍、外務長官の職はこの中から選ばれてきた)
子爵家3(現在の当主は王国軍副将軍、近衛兵団長、典礼長官を務める)
男爵家5(現在の当主は農業、商工業、鉱業、公共事業、文化芸術それぞれの長官を務める)
※法衣貴族は王家より与えられる給金が収入源(爵位への年金と役職への年給)。その他にも、各家で多少の農地や王都内の不動産などを所有し、そこから収入を得ている。
・領主貴族
公爵家1(ウォレンハイト公爵家:人口2000。王家の縁戚として格は高いが、領地規模はそれほど大きくない)
伯爵家2(クロンヘイム伯爵家:人口6500、アガロフ伯爵家:人口5500)
子爵家5(それぞれ人口1500~2500ほど)
男爵家13(それぞれ人口300~700ほど)
※領主貴族は領地での徴税権や司法権、行政権を安堵される代わりに軍役の義務を負う。王家への貢ぎ物(金額は小さいが実質的な納税。何かしらの贅沢品や武器類、資源など)の習慣もある。
〇軍事について
・王家の軍事力
→王国軍(三個大隊300人)
→近衛兵団(50人)
→戦時には王領の民より兵を徴集(理論上の上限は6000人ほどだが、現実的な限界は2000人程度)
・各貴族領の軍事力
→領軍(伯爵領でも100人以下。子爵領で20~30人。男爵領は領軍を常備せず、領主家と従士家の子弟が集まる自警団が軍役や治安維持を担っていることも多い)。
→戦時には領民より兵を徴集。人口の10%強が現実的な上限。
※ハーゼンヴェリア王国としてまとまった軍事行動をとれるのは5000人~6000人程度が上限
※騎士について
→軍で一定の技量(剣、槍、騎乗、座学)を身につけたら騎士として叙任を受ける。
貴族家の子弟が家で2~3年ほど鍛錬を積んで、その後に軍に入って訓練を5年ほど受けるのが一般的な例。平民の兵士から叩き上げで騎士になる者もいる。
→王国軍の他、貴族領軍でも騎士資格の認定を行っている(その格は王国軍騎士より劣る)。
→王国全体で騎士資格持ちは300人弱(近衛兵団に十数人、王国軍に50人ほど、各領軍に合計50人ほど。軍を引退済みで、領主に任命されて村の代官などを務めたり、傭兵として稼いだり、隠居して別の仕事をしたりしている者が150人ほど)。
〇魔法について
サレスタキア大陸西部の小国群では、10歳で「聖なる祝福」と呼ばれる儀式を受けて、魔法の才があるかを確かめるのが一般的(地域や宗教によって儀式を受ける年齢や儀式の名称は異なる)。
魔法の才があるのはおよそ30人に1人。そのうち破格の人材として王家や貴族から厚遇されるのはさらに30人に1人ほど(全人口で見ると1000人に1人くらい)。ほとんどの者は自分の食い扶持を稼げる程度か、それ以下の能力しか持たない。
〇主な魔法(現時点で未登場のものも含む)
・火魔法
攻撃魔法の代表格。火の粉を降らせたり、火炎放射を放ったり。強い才を持つ者は火炎の塊を撃ち出したりもできる。小規模な戦闘では切り札になり得る。
※攻撃魔法として万能というわけでもない。密集した歩兵に火炎を撃ち込めば大勢を炎上させることもできるが、突撃してくる騎兵などは炎の中をすぐに切り抜けてくるので、そう簡単には倒せない。
そのため、戦争では対歩兵戦闘、敵施設の木造部分への攻撃、画的に派手な魔法行使による敵の戦意喪失や味方の士気向上などを担うことが多い。
低い才しか持たない者でも、都市や村の様々な場面で火付け屋として日銭稼ぎができる。
・水魔法
すぐに清潔な水を提供できる特性を活かして、軍隊や隊商、都市部で仕事ができる。
・風魔法
戦場で追い風を作って行動速度を上げたり、逆に敵の矢などを風で防いだり、風に乗せて声を拡散したりと、工夫によって幅広く活躍できる。
手練れの風魔法使いの中には、敵に外傷を負わせるほどの風の刃を作り出せる者もいる(消費魔力との兼ね合いを考えると効率が悪いので、あまり風魔法での直接攻撃は実践されない)。
また、風をはらみやすい特殊な服装をして、自らの生み出す風で短時間だけ飛行する者もいる。
低い才しか持たない者も、風を操って落ち葉掃除などの仕事をこなすことができる。
・土魔法
大地を操る。農作業や土木作業、開拓作業で活躍することが多い。
魔法行使に時間がかかりがち(数十秒~1分以上)なので、戦闘で直接活躍する場面は少ない。
それでも人力で土木作業を行うよりは相当に効率よく大地を操れるので、堀を作ったり、簡単な防壁を作ったりして戦場で活躍することもできる。
・治癒魔法
人の身体の治癒能力を高めて傷や病気を治す。体力を回復させる。
王家に抱えられるような手練れなら、手足の切断傷を一瞬で止血したり、開放骨折から数日で完治させたりできる(死に至る病でも、初期段階なら全力の魔法をかけて治すことも可能)。
・肉体魔法
身体の筋力や体力、防御力などを強化する。
性質上、凄まじい才を持っていても魔導士ではなく兵士や騎士に分類されることが多い。
才が小さくても、荷運び労働者として働けば普通より多くの給金を得られる。
・使役魔法
動物や魔物を操る。術者は使役する生き物の言葉が分かり、逆に自分の言葉を理解させることもできる(ただし、その生き物の知能以上のことは理解できない)。
ブランカのようにツノヒグマを使役して、さらに鷹まで使役できる者はごく稀(普通はツノヒグマ1匹を使役するだけでも驚嘆される。ブランカの実力は大陸西部の使役魔法使いでも五指に入る)。
・心理魔法
相手の嘘を見抜いたり、逆に自分の吹き込んだ言葉を信じさせたりする(意思次第である程度逆らえるので、制約も多い)。
尋問をしたり、諜報員として情報収集をしたり、奴隷制度のある国では奴隷に「自分は奴隷だから主人に逆らえない」と思わせたりするかたちで活躍している。
才が小さい者でも、相手に好印象を抱かせることで友人を作りやすくなる、異性を口説きやすくなるなどの得がある。
・印魔法
正確な印を刻むことができる(奴隷に奴隷印を刻んだり、貴族家や商会の証明となる紋章を刻んだり)。
魔法塗料による拇印の本人か否かを魔法で確認できる。この能力を活かして、契約の締結や契約書の確認に立ち会ったりする仕事を受ける。
・鑑定魔法
病気の有無や怪我の深さなどを調べる。鑑定の精密さは魔法の才に左右される(健康診断のように全身をくまなく鑑定してもらうのは相当の費用がかかるので、王族や大貴族以外は何かしら症状が出て初めてその部位を鑑定してもらうことになる)。
物の素材(金の含有量など)を調べる。この魔法のおかげで、通貨の質はかなり保証されている。
血液や遺灰を鑑定することで、対象の人間同士に血縁関係があるかなども鑑定できる。
・時間魔法
身体の中に時計を内蔵したような魔法の才。山越えや砂漠の横断など、人里のない場所を長時間移動する場合には役立つ。
※ハーゼンヴェリア王家は王宮魔導士を十数人抱えているが、そのうち戦闘に向くのは5人(使役魔法使いが1人、火魔法使いが3人、風魔法使いが1人)
※魔道具について
一部の魔法の簡単な再現は、魔道具として実用化されている(火魔法から『種火』『沸騰』『照明』など、風魔法から『暖房』『拡声』など、心理魔法から『嘘発見器』など、鑑定魔法から『貨幣鑑定』など、時間魔法から『時計』など)。
庶民にも手に届くものもあれば、王族や大貴族が業務用に保有する超高価なものもある。
★★★★★★★
明日から第二章の投稿を始めて、以降は隔日で更新していく予定です。
(書き溜め具合によってはお休みをいただくことがあるかもしれません。ご了承ください)
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