第14話 決着

「立花…オレンジジュース美味しいか?」


「…」


「もっと欲しいか?」


「…」


「もっと飲んだ方がいいよな」


「…」


「返事無しか…」


立花の口にオレンジジュースを入れた。

なんで何も反応しないのか、どうしたらいいのかを考えながら。


「もっと欲しいか?」


「もう…いら…ない」


「立花!」


「私が聞いた秋くんの声の中で、1番大きい声だ、」


「ごめん、立花、」


「謝らないで、それとありがとう…」


俺は泣いた。

両親が死んだ時より泣いた。

不安が解けた感じと、ボロボロなのに立花が俺を見てくれて、話してくれたことが何より嬉しかった。


「まさか、立花が復活するなんて、これが愛の力ってやつか…」


バタッ


明斗はその場で倒れた。

初芽との戦いで見事に敗れたみたいだ。


「初芽ちゃんも、美優ちゃんも、紗菜ちゃんもありがとう!」


どうやらすっかり良くなったらしく、またいつもの元気な立花に戻っていた。

オレンジジュースの回復力は素晴らしい。


「よし、じゃあ明斗くんを治しますか、」


そう言うと、あっという間に魔法を使い明斗が意識を取り戻した。


「ごめん。立花にまで迷惑かけるつもりはなかったんだが、つい夢中になってしまって…」


明斗が土下座をして謝る姿に俺も、みんなも驚いていた。

酷いことをした自覚はあるようだ。


「全然大丈夫だよ!秋くん死ななかったから一件落着、目標達成だもん!」


「そう言ってくれるのはありがたい」


「ここにいる全員に言っておくけど、私が魔法使えるってこと誰にも言わないでね!言ったらどうにかしちゃうぞ!」


みんなは「了解!」と言うと、外も暗くなってきたし帰ることにした。


「明斗くん、私がいなかったら殺人になってたんだから今後は気をつけてね、」


「そうだな、ごめん」


「初芽ちゃんも美優ちゃんも紗菜ちゃんも今日は本当にありがとう!今度女子会しようね!」


「うん!」


4人は「また!」と言って暗い夜道へと進んで行った。

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